暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第30節「デュランダル、起動」
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取り上げようと柄に触れたその瞬間だった。

「うッ……ああっ……あああああああああああああ!!」
 デュランダルを握った手から、強い力が流れ込み、胸の奥から抗えない程の衝動が全身を駆け巡る。
 ギアの内側から外へと溢れ出そうとする、ドス黒い力……これ、前にも……。
 灰色のギアが両腕から、どんどん赤黒く染っていく。胸の水晶体が、血のような紅へと変わる。
 意識が真っ黒に塗り潰されて……やがて、深淵へと……落ちて……。

ダメ、だ……俺は……僕は……。


絶対に、何がなんでも……必ず……。



たちばな、の……手……を……。

 

「うあああああああああああああああああああッ!!」
「があああああああああああああああああああッ!!」

 二乗された唸り声が、工場一帯に響き渡る。
 目の前に獣は2匹。理性を失った橙と、深淵へと引きずり込まれた灰色。
 共鳴する唸り声と共に、2人はその手に握った聖剣を力任せに振り下ろした。
「お前を連れ帰って……あたしはッ……!」
 鎧の少女は撤退を選び、黄金の光に包まれてゆく工場を後目に飛び去る。
 光の柱は縦一文字に、眼前に聳える工場の煙突をバターのように容易く斬り裂いて、眼前のノイズを直撃ではなくその余波で、炭すら残さずに消し飛ばした。

 振り下ろされた光の柱の動きが止まる。
 このまま振り下ろされれば、工場の中心部に集まった燃料タンクを破壊し、工場はそのまま吹き飛ばされる……筈だった。
 その直前の、ギリギリのところでデュランダルの刃は止まっている。
 了子は聖剣を握る2人の方を見て、目を凝らす。
 工場全てを照らす閃光の先。その光源を握り締めている2人の姿を確認するのに、少しかかったが……やがて、彼女はデュランダルが止まった理由をその目で確かめた。
 聖剣を握る2人の装者。その剣を振るった少女ではなく、手を添えていた少年の腕が小刻みに震えている。
「……タチ……バ……な……」
 未だ2人の顔は黒い影に覆われ、赤く爛々と光る眼と、食いしばった牙もそのままだ。
 しかし、少年の右目だけは鋭い青を放ち、隣に立つ少女の顔を真っ直ぐに見つめていた。

 やがて、聖剣の輝きが弱まり、光の刃は消滅する。
 剣は力を眠らせ、力尽きた担い手はその手をだらりと下げた。
 手放され、地面に落ちる黄金剣。
 自らを支配していた影から解放された少女は、糸が切れた人形のように崩れ落ちる。
 ……暗がりの中から引き上げようと手を伸ばし、共に深淵へと沈んでなお、彼女の傍に在ろうとした少年の、優しい腕の中に抱かれながら。

(これがデュランダル……)
 了子は響の手を離れ、地面に転がる黄金の聖剣を見つめる。
 もう一歩手遅れだったら、この工
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