暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第29節「完全聖遺物争奪戦」
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くるのは、デュランダルを損壊させないよう制御されているとみえる!狙いがデュランダルの確保なら、敢えて危険な地域に乗り込み、攻めの手を封じるって算段だ!」
「勝算は?」
 
「思いつきを数字で語れるものかよッ!!」
 
 上手くいくかどうか……了子さんの心配を吹き飛ばす、師匠の力強い言葉。
 尊敬する人からの頼もしい言葉に、翔くんが不敵に笑う。
「ああ!叔父さんの言う通りだ!思い付きをいちいち真面目に考えてから実行するようじゃ、男とはいえない!」
「了解……弦十郎くんを信じてあげるわッ!」
 そう言って了子さんは、アクセルを思いっきり踏み込んだ。
 目の前では最後に残った護送車の上に、下水道から飛び出したノイズがのしかかっている。
 黒服さん達は護送車を飛び出し、車はそのまま一直線に目の前の燃料タンクへとぶつかり、爆発した。
 残ったわたし達は、工場の中の道を一直線に突き進んでいく。
 
「工場に入っちゃったけど、ノイズは──やった!狙い通り追って来ません!このまま逃げ切りましょう!」
「させるかよッ!!」
「ッ!?この声は!」
 次の瞬間、破裂音と共に車がひっくり返る。
「──ッ!響ちゃん、掴まって!!翔くんも!!」
「えっ……わあああああああああ!?」
「南無参ッ!」
 上下逆さまにひっくり返った車は、コマのように回りながら滑っていき、ようやく止まった。
「い、いたた……。2人とも、無事かしら?車から抜け出せそう?」
「はい、どうにか……」
「問題ありませんが……奴さん、どうやら逃がす気は無いらしいな……」
 シートベルトを外し、ドアを開けて何とか車から這い出すと……周りは既に何体ものノイズに取り囲まれてしまっていた。
「不味いな……猫の子1匹逃げられる隙間もない」
 周囲を見回した翔くんが呟く。
「だったらいっそ、デュランダルはここに置いて、私達は逃げましょう?」
「そんなのダメですッ!」
 了子さんの提案を、わたしは即座に否定する。
 確かに、それならわたし達は逃げ延びられるかもしれない。
 でも、この子にデュランダルを渡すわけにはいかない!そんな事したら、きっと大変な事になる!
 
「俺達は、広木防衛大臣が残した意志を背負って、この作戦に臨んでいるんです!放り投げるなんて真似、出来るわけがありません!」
 翔くんもデュランダルのケースを手にそう言って、建物の上からこっちを見ている鎧の少女を睨み付けていた。
「そりゃそうよね。──二人とも、来るわよ!」
 前を見ると、ノイズが形を変形させて、こちらへ向かって勢いよく飛んでくる所だった。
 慌てて走って逃げようと車から離れる。次の瞬間、ノイズに破壊された車が爆発した。
「うおおっ!?」
「うわあああっ!」
「くうっ!」
 
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