第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第27節「廻り始める陰謀」
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令。必ず果たして見せます」
ケースに触れると、そのまま敬礼する。
当然ながら、俺は広木防衛大臣に直接会ったことはない。テレビや新聞、叔父さんの話で知っている程度だ。しかし、あの人が他人を思いやる心を持って国を守っていた事は知っている。
それは、国を背負う役人として一番大事なものだ。叔父さんや父さんが胸に抱く、とても温かくて熱いものだ。……あの爺にはないそれを抱いて国を守っていた人を、失ってしまったのは惜しい。
だから、せめてもの弔いと、今までお世話になった御礼を兼ねて、俺はこの作戦に臨む。叔父さんと、父さんと同じ"防人"の魂を持っていたあの人が、きっと浮かばれるように……。
「ただいま」
「おかえり、翔。遅かったね」
寮に戻ると、純が夕飯の支度をしている所だった。
エプロンの着こなし方までイケメンに見えるってのは、正直どうなっているんだろうと疑問になって来る。
「夕飯ならそろそろ出来るから、手洗ってくるなら今だよ?」
「あー、それなんだけど……悪いな。今夜もこれから出なきゃいけないんだ」
「また用事かい?」
「ああ。叔父さんの仕事の手伝いさ。明日の朝五時から始まるから、今夜は向こうで泊まり込んだ方が早い」
真実8割、嘘2割。叔父さんの仕事の内容を隠しつつ、本当の事を言っておく。二課の任務で出る時、純にはいつもこう言うようにしている。
叔父さんの仕事はとある音楽関連企業の管理職で、俺は将来そこに就職するため、インターンシップに参加しているのだと。
「泊まり込みだって!?そういう事は早く言ってくれよ〜。ちょっと待ってて……夕飯、タッパーに詰めるから。ちょうど今夜は包み焼きハンバーグなんだ」
「なんと!?それはありがたい!米は自分で用意しよう。おにぎりにすれば、持ち運びにも困らないからな!」
「じゃあ、僕はその間におかず一式、詰め込んでおくね」
そう言って俺達は、夕飯をタッパーへと詰め込み始める。
「そうだ、いつも通りなら、おかわりもあるよな?」
「翔が沢山食べるからね。ハンバーグはいつもの通り、4つ作ってあるよ」
「じゃあ、その2つも持って行こう。食べさせたい娘がいるんだ」
「それって、この前言ってた中学の頃の?」
何故それを!?と驚く俺に、親友はさも可笑しそうに笑って答える。
「だって、あの後も逢い続けてるんだろう?帰ってくる度にいい顔してるの、もしかして自覚してなかったのかい?」
「そんなにか……。やれやれ、純には敵わないな……」
「他人から必要性を感じ取るには、まず相手をよく観ることから。王子様の鉄則さ」
そう言って、爽やかに笑う親友。爽やかイケメンスマイルが本当に似合うやつめ……。
こうやって純は、"王子様"という在り方
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