第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第26節「蠢く影」
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「はぁ〜……自分でやると決めたくせに申し訳ないんですけど、朝から一日中トレーニングなんてハード過ぎますぅ〜」
そう言って立花は、司令室のソファーに崩れ落ちた。
「そう言う割には楽しそうだぞ?ほら、汗はちゃんと拭かなきゃ風邪ひくぞ」
「まあね〜……あ、翔くんありがと」
そう言って立花は、俺から受け取ったスポーツタオルで汗を拭いた。
「頼んだぞ、明日のチャンピオン達!」
「はい、スポーツドリンクよ」
ジャージ姿の叔父さんが、スポーツドリンクを片手に、反対側のソファーにどっかり腰掛ける。
俺達の分のスポーツドリンクは、友里さんが手渡してくれた。
この冷え具合、あったかいものだけではなく、冷たいものまで適温で用意してくれる友里さんは、やっぱり二課に欠かせない健康管理役だと思う。
「わは〜、すみません!んぐんぐんぐッ……ぷは〜っ!」
「あんまり一気に飲み干して、噎せたりするんじゃないぞ?」
生き返る〜っ、とばかりにスポーツドリンクをストローから吸い上げる立花に、ついつい笑いながらそんな事を言ってしまう。
やれやれ、こんなに可愛らしい娘が彼氏いない歴=年齢だなんて……いっそのこと、貰ってしまいたい……。
いや、何を考えているんだ俺は。
立花にはきっと、俺なんかよりもいい人が見つかるだろう。それこそ、あの小日向でも認めるような、優しい人が……。
俺は優しいんじゃなくて、あの日の後悔と憐憫、その贖罪で彼女を支えているだけだ。そんな偽善者なんかじゃ、彼女に並ぶには似つかわしくないだろう。
だが、そんな一歩引いた考えとは裏腹に、こんな事を考える自分もいる。
もしも、立花の方から俺を求めてきたら……。
立花が他の誰でもなく、"風鳴翔"を選ぶような事があったとしたら……?
やれやれ、そんな事を考えてしまうなんて。もしかして、これは「愛」ではなく「恋」なのではないかと疑ってしまうじゃないか。
──下心なんかじゃない。俺は真心を以て、立花響という少女を支えるんだ。
だから……。
だから……?
はて、俺は果たして立花にとっての"何"なんだろうか……?
そんな事を悶々と考えていると、司令室を見回した立花が、ふと思い出したように言った。
「そういえば師匠、了子さんは……?」
言われてみれば、今朝から姿を見ていない。
研究室にでも篭もっているのだろうか……?
「永田町さ」
「「永田町?」」
「ああ。政府のお偉いさんに呼び出されてな。本部の安全性、及び防衛システムについて説明義務を果たしに行っている」
「ああ、広木防衛大臣ですか」
広木威椎氏。改定九条推進派の一人として知られる防衛大臣。この特異災害対策機動部二課やシンフ
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