第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第25節「なお昏き深淵の底から」
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彼女の価値観に基づいたものなのだが。
息を荒らげるクリスに、フィーネは再び近付き、妖艶な手つきで頬に触れる。
「覚えておいてねクリス。痛みだけが人の心を繋ぎ絆と結ぶ、世界の真実という事を……」
クリスはその言葉を、ただ黙って息を呑み、聞いているのみだった。
「……さあ、一緒に食事にしましょうね」
一晩中、荒療治とはいえ自分の身体を慮り、身寄りのない自分に寝食の場を与えてくれる。
痛みさえ我慢すれば、この人は自分の事を愛してくれる。
フィーネから、ようやくかけられた優しい言葉に、クリスは笑顔を見せる。
「……ふっ」
次の瞬間、再びレバーが降ろされ、クリスの全身を電撃が襲った。
「うわあ"あ"あ"あ"あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"あ"あ"あ"あ"あ"ッ!!」
少女の苦しみはまだ終わらない。その身が青銅蛇の鎧を脱ぎ捨てる、その時までは……。
「はッ!ふッ!」
土曜日の朝、屋敷の庭に響き渡る掛け声。池の傍に植えられた木に下げられたサンドバッグを、立花響は一心に殴り続けていた。
「そうじゃないッ!稲妻を喰らい、雷を握り潰す様に打つべしッ!」
「言ってる事、全然わかりませんッ!でも、やってみますッ!」
弦十郎に言われた通り、稲妻が落ちる瞬間を思い描く。
「……。──はあッ!!」
心臓の鼓動に耳を傾け、目の前のサンドバッグに稲妻が落ちる瞬間、それを握り潰すように素早く拳を打ち込んだ。
次の瞬間、サンドバッグを引っ掛けていた枝はへし折れ、そのままサンドバッグは池の中へと落ちて水飛沫を上げた。
池を泳ぐ錦鯉が、驚いて水面へと飛び跳ねる。
「わぁ……やりました!!」
「うむ、よくやった!こちらも、スイッチを入れるとするか……続けるぞッ!」
弦十郎はパンチングミットを両手に付け、構える。
サンドバッグの次はスパーリングで精度を磨くつもりらしい。
「叔父さんの言う事をそのまま実践出来るとは……流石だ立花。俺も負けてはいられない!」
そう言って、翔は古新聞を1枚手から離した。
宙を舞う新聞紙に、翔は素早く手刀を振り下ろした。
「師匠、翔くんはどんな修行をしているんですか?」
「ああ。翔のシンフォギアは、腕に刃が付いているだろう?あれを使いこなせるよう、手刀の練度を上げているんだ」
「なるほど……」
「竜巻を断ち、空気を真っ二つに割るように……斬るべしッ!」
意識を右手に集中させ、竜巻を切断するイメージを思い描く。
新聞紙がひらひらと宙を舞う中、翔の手刀が勢いよく振り下ろされた。
次の瞬間、新聞紙は二つに裂けて地面へと落ちた。
「翔くん凄い!」
響が歓声を上げると、翔は
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