暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第3楽章〜不滅の聖剣・デュランダル〜
第25節「なお昏き深淵の底から」
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られた椅子。鳥籠のような鉄檻には、枷付きの鎖とこびり付いた血の跡、そして黒猫の死体がそのまま放置されている。

 そしてもう一つ。それは、フィーネの格好であった。
 彼女は今、ヒールとストッキング以外は何も身に付けず、そのグラマラスな肉体を晒していた。もっとも、この場にいるのは彼女と、部屋の隅にある装置に拘束され、気を失っている銀髪の少女……クリスだけなのだが。
 そのクリスも身にまとっているのは、ネフシュタンの鎧でも、衣服でもなく、やたら露出度の高いボンデージだった。
 
 やがてフィーネは電話を切ると、椅子から立ち上がりながら呟いた。

「野卑で下劣。産まれた国の品格そのままで辟易する……」

 自らに協力している取引相手への愚痴を隠しもせずに口にしながら、フィーネはクリスの前へと立つ。

「そんな男にソロモンの杖が既に起動している事を教える道理はないわよねぇ、クリス?」

 顎に手を添えると、クリスはゆっくりと目を開く。
 クリスの全身からは汗が滴っており、磔にされた彼女の足下には、その汗が水溜まりを作っていた。

「苦しい?可哀想なクリス……あなたがグズグズ戸惑うからよ。誘い出されたあの子達をここまで連れてこればいいだけだったのに、手間取ったどころか空手で戻って来るなんて」
「これで……いいん、だよな?」
「なに?」
「あたしの望みを叶えるには、お前に従っていればいいんだよな……?」
「そうよ。だからあなたは、私の全てを受け容れなさい」

 そう言って、フィーネはクリスから手を離すと、階段を降りてこの拘束具……いや、拷問器具の操作盤へと向かう。

「でないと嫌いになっちゃうわよ?」

 フィーネが操作盤のレバーを降ろすと、青白い電撃がクリスを襲う。
 感電式の拷問器具。それがこの装置の正体だ。

「うわああああああッ!!あっ、がああああああああッ!!」

 苦しみ悶え、苦痛に顔を歪めながらクリスは悲鳴を上げる。
 
 そんなクリスを見て、フィーネは恍惚の笑みを漏らしていた。

「可愛いわよクリス、私だけがあなたを愛してあげられる」
「ああぁああッ!がっ、はぁ……はぁ……」

 電撃が止まり、短く息を吐く。しかしクリスは苦しんでこそいるものの、不満を口にすることは無い。

 何故ならこの拷問器具、本来の用途こそ拷問の為だけにあるものなのだが、今現在使われている理由はそちらに重きを置いたものではない。前回の戦闘の中で、クリスの体内に侵食したネフシュタンの鎧。その破片を取り除く為の医療器具としての用途が、この拷問器具が使われている理由であった。

 ──もっとも、フィーネの趣味嗜好という側面も実は少なからず存在しているのだが。むしろ、今の二人の格好もフィーネの趣味であり、
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