第2楽章〜約束の流れ星〜
第21節「夜に遭逢す」
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なんだから、きっとお姉さんを巻き込みたくないって思いもあったのかもしれない。
でも、やっぱり一度だけとはいえ助けてくれたんだから、それからも響を助けて欲しかった……。ただ静かに、親友から離れない道を選んだだけの私と違って、あの人は友達でも何でもない響の為に声を上げてくれた。
そんな人だからこそ、響を預けられる。私の中の私はそう囁く。
そんな人だからこそ、響を渡したくない。もう一人の私がそう呟く。
偽善者と呼ぶ事で彼を拒絶しないと、響を取られちゃう気がして……響が何処かに行っちゃうのが耐えきれないくらい寂しくて。だからレッテルを貼る事でしか心を保てない私は、きっと悪い子だ。
立花響という親友を、私にとってのお日様を、他の誰にも渡したくないだなんて……。
だから私は、星に願う。
どうか、私があの人を許してあげられますように。
それから……響がきっと、幸せになりますように。
「……貴様らのせいで、大切な約束を破りかけた子がいる……」
瓦礫の下から立ち上がる、灰色の影。
シンフォギアのお陰で無傷だった翔は、ゆっくりと立ち上がる。
追い打ちをかけようと襲いかかるノイズ達を、彼は静かに殴り、蹴り、斬り倒す。
「貴様らは、存在している事そのものが罪なんだよ……」
迫るノイズを全て打ち倒し、階段を一気に飛び降りると駅のホームへと降り立つ。
ホームに出れば、ぶどうノイズが飛ばした器官を再生し、足音軽やかに逃げ去ろうとしている所だった。
翔の胸の奥から、とても強い衝動が沸き起こる。
「貴様らが、誰かの約束を侵し……」
衝動は全身を駆け巡り、ギアの内側から外へと溢れ出そうとする。
強烈な殺気にぶどうノイズは器官を再び切り離す。すると分離した器官から数体のノイズが生まれ、翔の方へと襲いかかった。
「嘘のない言葉を、争いのない世界を……何でもない日常を!略奪すると言うのなら!」
正面から襲いかかったノイズの身体に風穴が空く。
しかしそれはいつもの様に、拳で殴ったことによるものではなく……その風穴からは、赤黒い手甲が飛び出していた。
消滅したノイズの前に立っていたのは、顔全体を黒に覆われ、爛々と光る真っ赤な目をした“何者か”であった。
灰色のギアは黒に染まり、血のように赤いラインが血管のように全身を走っている。
胸の赤い水晶体でさえ、いつもに比べて淀んだ赤へと変わっていた。
溢れる殺気と相まって、その姿を一目見たものは皆、口を揃えて言うだろう。
狂戦士、あるいは破壊者と……。
「オ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"ォ"!!」
唸り声を上げ、次々にノイズらを蹴散らす翔。
しかし、その戦い方は凶暴性と暴力性に満ちた、荒
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