第2楽章〜約束の流れ星〜
第21節「夜に遭逢す」
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戦っているんだろう。きっと、空を見上げる暇もないくらい忙しい筈だ。
それを思うと……任せる、とは言ったものの心配になって来る。
段々と不安が募り、やがて響はいても経っても居られなくなって来た。
「響、願い事、何にしたの?」
「……ごめん、未来。私……行かなきゃ」
私の一言に、未来の表情が曇る。
分かっている。それは未来にとても心配をかける事になるなんだって。
だけど、何だか胸騒ぎがする。翔くんの所へ行かなきゃいけない気がするんだ。
「もしかして、翼さんの弟さんの所に行くの?」
「うん……」
「どうしても、今じゃなくちゃダメ?」
「……うん。今日ここに来れたのは、翔くんのお陰なんだ。翔くん、私と未来の約束を知って、頼まれもしてないのにレポートを手伝ってくれたの」
「そうなの?」
未来は驚いたような顔をする。
まあ、確かにそれだけの理由で手伝ってくれる人なんて、そうそういないもんね。
「うん。だけど今、翔くんは私の分まで頑張ってくれてる。やっぱり、任せっきりには出来ないよ」
「……そっか」
「本当にごめんね。この埋め合わせは、いつかきっと!」
そう言うと、未来は静かに首を横に振った。
「ううん。こうして、響と流れ星を見ることが出来たんだもん。約束は守ってくれたんだから、私はそれで充分だよ」
「ホント!?」
「うん。だけど、あんまり遅くならないでね?」
「ありがとう、未来!」
未来の手を握ってお礼を言うと、私は駆け出した。
ノイズが出た場所は覚えてる。そこまで向かえば、間に合うかもしれない。
この胸が叫んでいる。翔くんの元へ迎えって……。
お願い翔くん、翼さん。どうか二人が無事でいますように!
そう願いながら、私は胸の歌を口ずさんだ。
「あーあ、借りが出来ちゃった……」
一つ、小さな溜息を吐く。
私にとって風鳴翔という男子は、響と同じクラスにいた男子生徒の一人という以外に、ある意味でとても印象に残っている。
2年前、響が学校中から虐められていた頃に一度だけ、響を助けてくれた人だ。
でも、助けてくれたのはたった一度だけで、その一回以外はずっと教室の陰から、虐められる響を見ているだけだった。
……どうして助けてくれなかったんだろう。いつしか私は、そんな自分勝手な希望を彼に押し付けるようになっていた。
他の生徒のように嗤うこともなく、虐めに参加する事もなかったけれど、彼はただ見ているだけだった。
一度だけでも助けてくれたのは、丁度私が風邪で休んでいた時の話だったらしい。響は「足りなくなった給食を分けてくれただけ」って言ってたけど、噂を聞く限りだと、その経緯にはやっぱり響への虐めが関わっていた。
きっと、彼も怖かったんだと思う。お姉さんが有名人
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