第2楽章〜約束の流れ星〜
第20節「約束の流星雨」
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「……って事があったんだ」
二課やシンフォギアの事を徹底して伏せながら、何とか説明を終えた響はようやく一息吐いて、友人達の様子を伺う。
友人達はそれぞれ、三者三様の反応を示す。
「なるほど。1か月前、街で偶然再会した中学の元クラスメイトかぁ……」
「学園系ラブコメアニメの冒頭みたいな出逢い方してるわね」
安藤はわざわざメモを取っては話の内容を纏め、板場はいつもの通りアニメに準えた喩えでコメントする。
一方、聞いた本人である寺島は何やらスマホで調べていた。
「聞き覚えのある名前だと思ったのですけれど、もしかして……」
探していたページを見つけると、寺島はスマホを響の方へと向けた。
「その翔さんという方は、もしかしてこの人でしょうか?」
「あーっ!詩織、何で知ってるの!?」
「つい先日、ニュースで見かけたもので。『大人気アーティストの弟、火事場泥棒を確保』と、表彰されていましたわ」
響の両隣から、安藤と板場もその画面を覗き込む。
そこには響と再会した日の前日、ノイズ発生の騒動に紛れて盗みを働いた男を捕らえ、警察へと突き出したアイオニアン音楽院の生徒……風鳴翔の記事が掲載されていた。
「ホントだ!翔くん凄い!」
「えっ、嘘!?あの風鳴翼さんの弟さん!?」
「イケメンじゃん!しかも有名人!え、何この展開!?アニメじゃないんだよね!?」
二人の驚きは尤(もっと)もだ。日本を代表するトップアーティストにして、このリディアン音楽院の3年生、風鳴翼の弟が友達と知り合いだったのだから。
それもただの知り合いでなく、中学の元クラスメイト。重なった偶然の数々に言葉を失う。
「他にも何度かニュースに載っていますわ。ひったくり犯を取り押さえたり、川に落ちた子供を助けたり……去年の秋にはバイオリン演奏の全国コンクールでも表彰されていますね」
「なんか……ビッキーに似てる気がする」
「私も思った……。アニメみたいな生き方してるなとは思ったけど、それ以上に響の"人助け"に近いものがあるっていうか……」
「全然……似てないよ!!」
未来が突然声を上げ、四人は驚いて振り向く。
自分が反射的に叫んでいた事に、未来自身も驚いていた。
「ど、どうしたのヒナ?そんな大声出して……」
「あ……えっと……」
こんな事を言ってしまってもいいのだろうか?
小日向未来は、その先に続く言葉を言い淀む。
その言葉は間違いなく、彼を貶めるものだから。無意識かもしれないけど、彼の事を嬉々として語る親友を傷付けると分かっているから。
それに、その言葉は決して正しいものでは無いと自分でも分かっている。自分の身勝手な希望の押し付けから生まれた、とても綺麗なものでは無い一言だと。
しかし、頭では分かっているつもりでも
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