第2楽章〜約束の流れ星〜
第18節「約束の日、迫る」
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「何なんだよあれは!あんなのがいるなんて聞いてないぞ!!」
町外れの古い洋館。鎧の少女は扉を開くなり、家主である彼女を問い詰める。
部屋の隅に広がる暗がりから現れた彼女は、淡々と告げた。
「あれは私も想定外よ。まさか奪う筈だった聖遺物が新たな融合症例を生み出すなんてね」
「チッ……。“フィーネ”、次はどうすればいい?」
聞くだけ無駄だと悟った少女は早々に追求をやめ、次の指示を待つ。
幼い頃に両親を喪い、身寄りもなく、帰る場所を失った少女は彼女に飼い慣らされる事でしか、生きていく術はないのだから。
「そうね。生弓矢を奪う事は出来なかったけど、代わりに想定外の収穫もあったわ。検体は二つあった方が便利でしょう?」
「攫ってくればいいんだな?逃げ回っていた、あの二人を」
「話が早い子は嫌いじゃないわよ。それじゃあ、決行の日は追々伝えるから……」
フィーネと呼ばれたその女性は、窓から差し込む光に照らされる金髪を揺らしながら、ゆっくりと少女の方へと近づいて行く。
そして、その耳元に口を寄せると、妖艶な笑みと共に囁いた。
「私を失望させないよう励みなさい、クリス」
その一言には、有無を言わさぬ圧が存在した。
一瞬肩を跳ねさせ、クリスと呼ばれた少女は歯を食いしばる。
フィーネが離れると、クリスはネフシュタンの鎧を脱ぎ捨てる。 鎧の下から現れた少女は、5年前と変わらぬ銀髪を揺らして俯くのだった。
立花が二課に配属されてからひと月。
あれから俺は放課後になると、姉さんと立花の3人で、本部のシミュレーターを使って鍛錬に明け暮れていた。
「はぁっ!せいっ!」
「フッ!ヤアァッ!立花、翔!そちらに向かったぞ!」
「フンッ!ハッ!了解!」
姉さんが倒し損ねたノイズを、俺と立花が殲滅する。
連携は大分取れるようになって来ていたし、何より立花の拳も少しずつだが磨きがかかり始めていた。
「これで……最後ッ!!」
立花の拳が最後の一匹に風穴を開け、シミュレーションが終わった。
二人の体が一瞬光に包まれ、元の制服姿に戻る。
俺も心で念じると、シンフォギアは一瞬輝きブレスレットの中へと収納された。
「本日の鍛錬はこれにて終了だ。二人とも、腕が上がって来ているな」
「翼さん、ありがとうございます!お陰でちゃんと、誰かを守れるようになって来ている気がします!」
「気がする、じゃないだろ?立花はもう立派に誰かを守ることが出来る。一人前とは行かなくても、俺や姉さんが支えているんだからな」
「無論、立花も私達を支えている。私達は支え合う事で人々を守っていくのだ……だろう?」
「俺が言おうとしてたのに先に言わないでくれるかなぁ姉さん!?」
「ぷっ……あっはっはっはっはっは!」
「ふふ……
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