暁 〜小説投稿サイト〜
戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第15節「勇者の称号」
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《レクイエム》が幕を開けた。

「翔くん、この曲って!?」
 翔くんの方から聴こえてきた旋律に驚いて振り返ると、翔くんのアームドギアはまるでバイオリンのような姿に形を変えていて、翔くんがそれを突然演奏し始めた事にもう一度驚かされた。
 しかも、翔くんが弾いているのはなんと、いつもガングニールを纏っている時、私の心の中から響いてくる歌の前奏だ。この何秒かの間に3回も驚かされちゃうなんて、私の寿命は何年縮んだんだろうか。
 私が驚いて振り返っている事に気付いた翔くんは、バイオリンを弾く手を止めること無く、ただ楽しげに笑いながら答えた。
「歌え立花!心の歌を!」
 その言葉と、その表情はとても自信に満ちていた。
 私達ならやれる、と。このノイズ達を倒せると、疑いもせず信じているのが伝わる。
 そんな翔くんを見ていると、私もそんな気がしてきた。
 行ける!私達二人が力を合わせれば、乗り越えられる!
 さっき戦っている途中に貰ったアドバイスを思い出し、拳に力を込めて構える。
 もうさっきまでの不安も、恐怖も、何処かへと飛んで行ってすっかり消えてなくなっていた。
「分かった!最後まで聞いてて、私の歌!」

「絶対に離さない、この繋いだ手は!」
 飛び掛ってきたクロールノイズに、真っ直ぐ拳を突き出す。
 突進の勢いで拳を避けられないクロールノイズは、そのまま炭になって四散した。
「こんなにほら温かいんだ、人の作る温もりは!」
 左から迫って来ているヒューマノイドノイズを、右脚で蹴りつける。
 地面に脚が付いた瞬間、背後から飛んで来たフライトノイズを、右足を軸に身体を反転させて躱し、フライトノイズに続いて迫っていたもう一体に、もう一度右手を突き出して殴り付ける。
 難しい言葉を使わず、素早く丁寧なアドバイスをしてくれた翔くんのお陰で、ちゃんと戦えている。
 さっきまでヘトヘトだったはずの体に力が漲るのは、きっと翔くんの演奏が私に力を与えてくれているから。細かい理屈はわからないけれど、今、分かるのは私の歌とこの全身で感じている旋律が……私の心と、翔くんの心が強く共鳴しているのは確かだって事!それだけで充分だ!
 ぐっと漲っていく力と、止めどなく溢れていくこの思い。繋がり合う音と音が生み出すエナジーが今、2倍でも10倍でもなく、100万倍のパワーで爆発する!!
 さあ、ぶっ飛べぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!

「解放全開!イっちゃえHeartのゼンブで!」
「進む事以外、答えなんてあるわけが無い!」
 静かに演奏に徹するつもりだったが、立花の歌声を聴き、この旋律に込める感情が昂って来ると、どうにも黙っているだけではいられなくなった俺は、遂に立花の声に合わせて斉唱(ユニゾン)し始めた。
 今俺が奏でているのがただの音楽ではなく、
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