第一部
刻印
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《黒鋼弥以覇》は《立華紫闇》の弟子入りを認めると、後のことを《永遠レイア》と《黒鋼焔/くろがねほむら》に任せて出ていった。
「紫闇って空手やってたよね?」
「二ヶ月しかやってませんけど」
レイアの質問に紫闇は思い出す。
彼は《朱衝義人》に出会って直ぐ後に力と強さ、戦闘能力を求めたのだ。
義人に近付く為に判りやすい強さを得る。
それで周囲に自分を認めさせようと。
しかし【魔術師】や【超能力者】という一般的な常識では測れない存在が珍しくない世界で武術というのは特に評価されない。
だから紫闇のことを認めてくれるのは相変わらずレイアや《エンド・プロヴィデンス》、《的場聖持/まとばせいじ》の三人のみであった。
なので空手は辞めている。
「良かったな焔。他流の型は覚えてないぞ。【黒鋼流体術】の指導がやり易くなる。問題は飲み込みの早さと成長率というわけだな」
焔はレイアの言葉に頷く。
「入門テストだよ。一応ね」
彼女は手を差し出す。
「あたしの手を握って。その状態で【魔晄防壁】を展開するんだ。君が魔術師としての【異能】や超能力を持ってるんならそれも見せてもらうところなんだけどね」
紫闇は言われた通りにする。
その瞬間、焔の顔から感情が抜け落ち何を考えているのか読み取れなくなってしまう。
「兄さん。知ってたね?」
レイアに向けられた焔の虚無を宿した瞳に紫闇は思わず氷点下になったような冷気を感じ、得体の知れない寒気に襲われた。
「まあ紫闇が普通じゃないのは昔から判ってたから放置してたんだよ。僕達がむりやり鍛えたところで意味は無いだろうしね」
どういうことなのか。
「合格だよ紫闇。これから宜しく。君もあたしを焔って呼んでくれると良い。年上だけど気にしないで良いから」
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
無事に黒鋼へ弟子入りした紫闇は出来るなら屋敷へ住み込む方が良いと言われ、一旦レイアと自宅に帰り、必要な荷物を纏める。
家族への連絡は無し。
どうせ何の心配もしないから。
そして弟子入りした日から二日後の朝、紫闇は黒鋼の屋敷に有る居間で弥以覇と共にテレビを眺めていた。
【無明都市】の特番をしている。
画面には白髪の大英雄。
紫闇の憧れ義人だ。
『今から7年前、2064年』
ナレーションが流れる。
紫闇が義人に救われた一年後。
『朱衝義人が率い、彼を含めた世界で最強の魔術師7名からなる特殊部隊として名を馳せていた【マジェスティ
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