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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第14節「生命(ちから)宿す欠片の導き」
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悔からの自殺衝動でもない。
 
 人類全てが持っている無償の対価。
 
 形、呼び方は多々あれど、これはそれら全ての根底に根ざしたモノ。
 
 全ての奇跡の種にして、この世界を回すもの。
 
 この瞬間、俺を突き動かした理屈のない衝動。
 
 それは─── “愛”だ。
 
 
 


 
 
 
 
 
 次の瞬間、胸の奥に何かが浮かぶ。
 ゆっくりと炭の塊へと変わっていく心臓の奥から何かが溢れ出して、左手の中に握った鉄塊が熱くなった。
 衝動が、身体中を駆け巡る。
 左手の中から、とても強い力が伝わって来る。
 その時、俺の頭に浮かんだのはついこの前、了子さんに見せてもらった立花のメディカルチェックの結果と、立花がシンフォギア装者へと至った理由。そして、この手に握る神話の遺物が司る伝説だった。
 
「生弓矢……俺に……彼女を守る力を!!」
 
 胸に突き刺したそれは、身体を内側から焼き尽くすほどに熱く、目を瞑りたくなるくらいに光り輝いていた。
「うっ……ぐっ、がっ……ああああああああぁぁぁああああああ!!」
 痛みを超えて広がる熱と、身体中へと広がる力の波紋。
 炭素分解され、感覚を失っていた器官さえもがそれを感じていた。
 やがて、鏃は先端から尾っぽの先まで全てが吸い込まれていく。
 胸の奥に異物が入り込んだ違和感は、一瞬で掻き消された。
 代わりに、この胸の奥から届いたのは……一節のフレーズだった。
 
「──Toryufrce(トゥリューファース) Ikuyumiya(イクユミヤ) haiya(ハイヤァー) torn(トロン)──」
 
 衝動のままにそのフレーズを口にした次の瞬間、身体の内側を突き破る程の力が溢れ出す。
 刹那の中で、俺の意識を塗り潰せんとする強い力。ドス黒い破壊の衝動。
 同時に、この身体を骨の一本に至るまで焼き付くそうかという熱と、細胞の一片までをも侵食していくかのような激しい痛みを伴うその力は、向かう方向も知らずに走り続ける暴れ馬のように駆け抜ける。
 
 負けない……聖遺物の力に負けてたまるものか!
 
 立花は諦めなかったんだ……だから俺も、諦めない!!
 
 心の中で叫んだ直後、力に流されるばかりだった身体を何かが覆う。
 まるで、止めどなく溢れ出す力を抑え込むかのように。力を力で捩じ伏せるのではなく、優しく包み込むように広がっていくそれは両手に、両腕に、両肩に、両脚に、腰に。
 胸から背中に、脚はつま先から足裏まで。
 そして最後に頭を。顔を両側から包み込むような感触があり、最後には全身を包んでいた光が弾ける。
 その時にはもう、全身に広がった熱も痛みも消えていた。
 
『ノイズとは異なる高エネルギー反応を
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