第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第14節「生命(ちから)宿す欠片の導き」
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を向けて構えた。
「貴様が何者かは知らぬが、邪魔立てするなら容赦はしない!」
「しゃらくせぇ!やれるもんならやってみな!」
翼が翔と響の元へと辿り着かない理由が、一人の少女による襲撃だということを、この時の二人は知る由もなかった。
「せりゃああああ!!」
振りかぶった拳が躱される。よろけた瞬間、クロールノイズの体当たりで体が右に吹き飛んだ。
流石に数が多過ぎる。素人の私じゃ、この数は捌ききれないどころか、まともに相手をすることもできない。
「でも、まだ諦めない……!私が戦わなきゃ!」
両脚に力を込め、もう一度立ち上がる。
目の前のノイズに拳を出そうとしたその時、頭上から迫る影に顔を上げる。
「立花!上だ!」
次の瞬間、3体の鳥っぽいノイズがドリルみたいな形になって、私目掛けて突撃した。
「うわあああああああああああ!!」
「立花!!」
衝撃に吹き飛ばされ、何回も地面を転がって倒れる。
もう何回目かの繰り返しだった。何度か翔くんが、殴り方のアドバイスだったり、何処からノイズが来てるかを教えてくれたりと指示を飛ばしてくれたから大分戦えたけど、私の身体が追い付いていなかった。
でも……私は、まだ……諦めない。
翼さんが来てくれるまで、負けられない……!
何とかしなくちゃ……なんとか、しなくちゃ……。
うう、脚がフラフラする。身体が重くて、目の前がぼやけて揺れている。
何回も吹き飛ばされてる内に、私の心はまだ負けてないのに、身体の方は先に疲れちゃったんだ。
「大丈夫……まだ、私……」
お願い……動いて私の身体……!
ここで私が倒れちゃったら、翔くんが死んじゃう!
私はまだ諦めたくない!だから……。
「この任務を終わらせて……お好み焼き、食べに行くんだから……!」
だから……お願い、誰か……。
立花はフラフラになりながら、また立ち上がる。
もう体力はとっくに限界を迎えているはずなのに、まだ諦めない。
それはきっと、彼女の根底にある「人助け」の精神に彼女が支えられているから。
ここで諦めれば、俺の命は助からない。だから姉さんが来るまでは一人で戦い続ける。
立花の意思は本物だ。優しさと強さを兼ね備えた、気高い意思がそこにある。
だが、それでもこれ以上、彼女を一人きりで戦わせては行けない。
このままでは俺より先に、立花が死んでしまう!
「……お前の力は、どうすりゃ引き出せるんだ……?」
腕のブレスレットを見つめ、誰にともなくそう呟く。
時間が経って、精神的疲労も大分マシになった。今ならもう一度、RN式を展開する事が出来るかもしれない。
短い間だが、時間を稼ぐ事くらいならできる。しかし、問題はその後どうするかだ。
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