第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第14節「生命(ちから)宿す欠片の導き」
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短いから、翔くんを途中で回収して一気に駆け抜けるつもりだったんだけど……やっぱり現場じゃプラン通りにいかない事の方が多いわね。もう少しで翔くんに追い付けそうだったのに、ギガノイズに道路を破壊されて先に進めなくなっちゃったのよ』
「そうか……君が無事で何よりだ。翔は響くんが保護している。作戦はこのまま実行だ」
『りょーかい。じゃ、私は……あら翼ちゃん、良いスピードね。あれなら世界取れるんじゃないかしら?』
どうやら翼が近くを通り過ぎたらしい。自分の持ち場に現れたノイズを殲滅して、ギガノイズの方へと向かっているようだ。
「了子くんは負傷者の確認、並びに別ルートから目的地へと向かってくれ!」
『はーい、任せなさいな』
最後まで軽めに返して、了子は通信を切った。
弦十郎は端末をポケットに仕舞いながら、眼下に伸びる立体道路を這いずり進むギガノイズを見下ろす。
その先を、少年を抱えて疾走する少女の姿を見て、弦十郎は歯痒く思うのだ。
俺が戦場へと出られれば、あの子達にあんな苦労をさせる事などないのだが……と。
了子は冗談半分のようなノリで言っていたが、おそらくあの発言は本心なのだろう。「風鳴弦十郎ならRN式を使いこなす事ができる」と。
だからこそ、弦十郎は苦悩するのだ。自ら戦場に立つのが難しい立場である事に。
しかし、なればこそ。彼は子供達を支える為、戦士ではなく"司令官"として在り続けるのだ。
「翔……響くん……無事に逃げきってくれ……」
「いっけぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」
両足の鎧から展開されたパワージャッキが、音を立てて地面を削る。
その反動を利用した跳躍力で、立花はノイズとの距離を広げつつあった。
あちらは図体がデカい分、脚はとても鈍重だ。一方こちらには、小さい分だけ足の速さに利がある。
牛の歩みと鼠の走り、くらいの差だ。逃げ切るだけならこれで充分!
ただ、やはり倒す事が出来ないのが一番の問題だ。合流ポイントまで辿り着いても、こいつを倒せていなければ叔父さんのヘリは撃墜されるだろう。
引き離すにしても、距離を考えなくてはならない。
姉さんが追い付けるように、一定の速度を保っていなくてはならないのだ。
「立花、分かっているな?」
「引き離し過ぎないように、だよね?難しいけど分かってる!」
「なら、このまま速度を保って……」
そう言いかけた瞬間だった。頭上に複数の敵影が現れる。
ぎょっとして見上げると……嫌な予感は当たっていた。
「不味い!立花上だ!」
「えっ!?うそおおおおおおお!?」
左にステップを踏んで落下してきた敵を避け、バックステップで後退する。
見回せば、周囲はあっという間に空から降ってきたノイズの群れに囲まれてしまって
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