第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第9節「任務前夜」
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に座り、弦十郎の席のモニターにデータを送信した。
先程まで確認していたタブを一旦縮小し、弦十郎は送られてきたデータを確認する。
「改良の結果はどうだ?」
「今出来る最大限の事はしたつもり。でもやっぱり、使用者本人に頼る所が大き過ぎて不確定要素が多い面は変えられないわね」
「そうか……」
「でも、なんとかテスト運用出来る所までには調整出来たわよ。後は聖遺物の欠片を嵌め込めば、一応起動出来るわ」
了子が白衣のポケットから取り出した鈍色の腕輪には、中心部にはちょうど翼のペンダントと近い形状の窪みが存在していた。
「RN式回天特機装束……シンフォギアのプロトタイプとはいえ、その性能は劣化版どころか玩具以下のガラクタ同然なんだけど……。実戦投入出来るように改良出来ないか、って言われた時は驚いたわよ」
「俺達でも使うことが出来るのに、倉庫で埃をかぶるだけだなんて勿体ないだろ?」
「まあ、弦十郎くんの精神力なら案外使いこなせちゃったりするかもね〜」
RN式回天特機装束。それは聖遺物の力を歌の力ではなく、使用者の精神力によって引き出し、ノイズに対抗する装備の名称だ。
しかし、使用者の精神力の強さによって稼働時間が変わる上、訓練されたレンジャー部隊でさえ数秒と持たず、使えばただ疲労するだけの欠陥品であり、現行のシンフォギアに比べればその性能差は火を見るより明らかだ。
それでも、一応はシンフォギアのプロトタイプであるため、〈シンフォギアtype-P〉とも呼称されるこの欠陥装備は今、ようやく日の目を見ようとしていた。
「念の為、明日の朝、翔くんに預けちゃってもいいかしら?」
「翔に!?ううむ……確かに、前線に近い場所に立つことになるからな……。護身用に持たせる分には構わんが……」
「じゃあ決まりね?もしもの時は生弓矢の欠片で起動してもらうわ。でも長くは持たないから、生弓矢を持ってダッシュする翔くんを回収する手筈も整えなくちゃね」
「無論だ。何があっても絶対に子どもを守るのが、俺達大人の務めだからな」
そう言って弦十郎は、護送車の進行ルートに合流ポイントを加筆して行くのだった。
「え……?それって、どういう事……?」
立花の声が震える。
怒り……違う。これは多分、恐怖の震えだ。
立花本人が自覚しているかは分からない。しかし、あの日の傷は確かに立花の心に刻まれているのだと、その声で実感する。
だから俺は床に膝を着き、頭を下げて謝罪した。
「すまない立花!俺は……俺は、お前の苦境を知りながら……ずっとそれを見ているだけだったんだ!」
「翔くん……?」
「本当は助けたかった!でもあの頃の|僕《・
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