第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第5節「不協和音な剣と拳」
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ンジ色のシンフォギア、ガングニールを纏う奏者としてノイズと戦っていた──と言っても、現場に到着する前に翼が全て倒してしまったのだが──彼女は昨日、自分の不用意な発言で翼を傷付け、怒らせてしまった事を後悔していた。
謝りたいのだが、彼女は顔を合わせても口さえ聞いてくれない。
壁を作ってしまった翼にどう接すればいいのか分からず、彼女は悩んでいた。
「はぁ……私、呪われてるかも……」
口癖の言葉を漏らしつつ、トボトボと歩いていく響。
その後ろ姿を見つけ、櫻井了子は声をかけた。
「ハ〜イ響ちゃん、元気ないわね?」
「あ、了子さん。あはは、そんな事無いですよ!」
「翼ちゃんとの事でしょ?顔に書いてあるわよ」
「ふえぇ!?ほっ、本当ですか!?」
自分の顔にペタペタと触って確かめようとする響。
そんな彼女を見て、了子はクスクスと笑う。
「そんな響ちゃんに、ある人から伝言を預かってるんだけど……」
「へ?伝言?誰からです?」
「ふふっ、それはね……」
そう言うと了子は、何やら企んでいるような笑みを浮かべながら、響に耳打ちした。
「わ、分かりました!私、ちょっと行ってきます!」
了子の伝言を聞くと、響は慌てて走り去って行った。
その様子を軽く手を振って見送ると、了子は誰にともなく呟く。
「響ちゃんも放っておけない子だとは思ってたけど、翔くんも同じくらい放っておけないわよね……」
響が廊下の角を曲がっていくのを確認し、了子は一つ伸びをして、自分の研究室がある方へと歩いて行った。
「さて、私も研究を進めないとよね〜。弦十郎くんに頼まれてる例のやつ、実戦投入の望みは薄いんだけど……」
研究室の扉が開き、了子はその中へと入って行く。整頓された真っ白な机の真ん中には、鈍色の腕輪が置かれていた。
「了子さん、しばらく待ってろとは言われたけど……」
休憩スペースの自販機で炭酸飲料を購入し、そのままソファーへと腰掛ける。
任せといて、とウインクしていたけど了子さん、何時になったら戻ってくるんだろう?
いつになるのか分からないし、暇潰しに姉さんの新曲でも聴いていよう。
と、イヤホンを取り出してスマホに繋いだ時だった。背後からこちらへと走ってくる足音が聞こえて振り向く。
誰だろう?マイペースな了子さんではない筈だ。サイレンも鳴ってないし、緊急事態って訳じゃないだろう。
そもそも緊急事態ならコンソールルームの方へ向かうべき筈だ。ここからは逆方向だし……余程の慌てん坊なのだろうか?
しかし、俺が知っている二課の職員にそんな落ち着きのない人は……。
振り返った時、俺は目を疑った。
確か
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