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戦姫絶唱シンフォギア〜響き交わる伴装者〜
第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第5節「不協和音な剣と拳」
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「ッ!その声は……」
 頭を抱えていた所、背後からの声に振り返る。
 立っていたのは白衣に眼鏡の典型的学者スタイルに、蝶の髪飾りで髪をアップに纏めた自称できる女。または天才考古学者。
 名前を櫻井了子。シンフォギアシステムの開発者にして、シンフォギアを始めとした異端技術、「聖遺物」を動作させる〈櫻井理論〉の提唱者でもある。
 叔父さんとは長い付き合いで、お互いに名前で呼び合っている所に強い信頼関係を感じる。
 真面目な指揮官である叔父さんとマイペースな了子さんの、共に苦楽を乗り越えて来た相棒感は、二課のオペレーターであるあの二人に並ぶ名コンビとも。
「って、了子さん……気付いてたんですか?」
「ええ。植え込みにスマホを置き忘れるなんて、今のご時世じゃ死活問題だぞっ☆」
「あはは……」
 了子さんからスマホを受け取り、通話機能を切る。やれやれ、現実は映画のようには行かないらしい。いや、気付いたのが了子さんだけだったの、割と上手くいってた証拠では?
 
「それで、翔くんはどう感じたの?響ちゃんと翼ちゃんの事、心配してるんでしょ?」
「はい……。分厚い壁が出来てしまっているみたいですね……。なんとかしてあげたいのですが、自分に何が出来るのか……」
 立花に会って話が出来ればいいんだけど……いや、待てよ?そうだ!
 妙案を思い付いた俺は、了子さんに手を合わせて頭を下げた。
「了子さん!お願いです、立花へ言伝を頼めませんか?」
「え?響ちゃんに?私から?」
「はい。頑固な姉さんより、素直な立花の方が聞いてくれると思うんです。でも俺、立花に顔を合わせるのは……」
「も〜、高校生になってもそのヘタレっぷりは相変わらずなのね。盗聴なんて回りくどいことまでしちゃって、そんなんじゃいつまで経ってもかっこ悪いままよ〜?」
 ヘタレ……ああ、そうだ。結局、俺は臆病者。叔父さんに鍛えられて、少しは心が強くなったと思っていたけど、本当はあの頃から変わっていない。
 立花から恨まれるのが怖くて。忘れられている事が嫌で。だから、彼女に向かい合う事が出来ない。手を伸ばしたくても、中途半端な所で顔を逸らしている弱い人間なんだ……。
「自分勝手なのは分かってます。でも……こんな臆病者にその資格はないとしても、俺は……」
「……分かったわ。でもぉ〜、一つだけ条件を付けてもいいかしら?」
 顔を上げると了子さんは、仕方ないわね、という微笑を浮かべながら人差し指を立てていた。
 
 
 
「はぁ〜……翼さん、やっぱりまだ怒ってるよね……」
 エレベーターを降り、ガックリと肩を落としながら廊下を歩く一人の少女。
 茶髪のショートヘアーに、赤いN字型のヘアピンを前髪の左右に留め、太陽のような琥珀色の瞳をした少女の名は立花響。
 先程までオレ
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