第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第2節「過去からの残響」
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るほど。それは災難でしたね……。どうぞ乗ってください、寮までお送りしますよ」
「ありがとうございます!」
緒川さんが車を出している、という事は……。
助手席に目をやると、予想通りの人物が座っていた。
「姉さん。お仕事おつかれ〜」
「翔……うん、ありがと……」
窓から助手席側を覗き込んで声をかけると、姉さんはどこか弱々しく、そう返した。
不思議に思い、姉さんの顔を見ようとして……涙の跡を見つけた。
「姉さん……?姉さん、何かあったのか!?」
「っ!……翔には関係のない事だ!」
そう叫ぶと、姉さんは顔を逸らしてしまった。
緒川さんを見ると、緒川さんはただ、俺に後部座席へと乗るよう促すだけだった。
姉さんが泣いている。その理由を聞くのは、姉さんが落ち着いてからにするべきだろう。
俺は車に乗り込むと、アイオニアン学生寮の途中にあるコンビニへと向かってもらった。
「新たなガングニールの適合者……ですか」
「はい。翼さんは、彼女がガングニールを引き継いだ事に納得がいかないようでして……」
コンビニでスポーツドリンクを購入した後、俺は緒川さんから事の顛末を聞くことになった。ちなみに姉さんはというと、助手席でそのまま眠ってしまった。疲れとストレスが一気に押し寄せてきたんだろうな……。ゆっくり休んでね、姉さん。
昨日の夕刻、ノイズ出現と共に観測されたノイズとは異なる高エネルギー反応。アウフヴァッヘン波形の称号により、その正体は二年前に失われた第3号聖遺物「ガングニール」のものと一致したらしい。
そして現場のカメラが撮影した映像には……ガングニールのシンフォギアを纏う少女の姿があった。
シンフォギア……それは、特異災害対策機動部二課所属の科学者、櫻井了子さんの提唱する「櫻井理論」に基づいて開発された、聖遺物から作られたFG式回天特機装束。
早い話が、ノイズに対抗出来る唯一無二の特殊装備だ。
現行の憲法に接しかねない代物であるため、日本政府により完全に秘匿されているその装備は、適合者の歌によって起動し、歌によって真の力を発揮する。
二課が保有していたのは二つ。第1号聖遺物「絶刀・天羽々斬」と第3号聖遺物「撃槍・ガングニール」だ。
そして、ガングニールのシンフォギアは忘れもしない二年前。姉さん、そして姉さんの親友にして相棒だった天羽奏さんによるアイドルユニット、〈ツヴァイウイング〉のライブ中に起きたノイズの大量出現事件……通称「ライブ会場の惨劇」の日だ。
奏さんはノイズを全滅させる代わりに戦死。その際ガングニールは砕け散り、この世から失われた。
そのガングニ
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