第1楽章〜覚醒の伴装者〜
第1節「掴めなかった手」
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ノイズから人々を守る政府機関だ。
避難誘導、ノイズの進路変更、被害状況の処理が主な仕事だが、市民からはノイズと戦っている組織という認識が強い。
俺にもあんな力があったら……これまで何度、そう思った事か。
……まあ、俺が言ってる特異災害対策機動部ってのは、厳密には表で活動している方の部隊ではないんだけど。
そんな人達がいるからこそ、俺達は安心して暮らしていける。
俺もいつかは、ああいう人達みたいになりたいと……モノレールの車窓から見える夕陽を見ながら、そう思った。
いつものショップから離れた別の店が、あのショップの代わりに予約商品の受け渡しを行っていた。
ノイズ被害の影響で、駅から割とすぐだったあのショップよりも離れた所まで歩く事になり、店を出た頃には日が暮れていた。
さて、帰ろうかと歩き出して……
ヴヴヴヴヴゥゥゥゥ────!!
耳を劈くようなサイレンの音に、思わず周囲を見回した。
『日本政府、特異災害対策機動部よりお知らせします。先程、特別避難警報が発令されました。速やかに最寄りのシェルター、または待避所へ避難してください』
「ノイズか!ったく、昨日の今日で現れやがって!」
受け取ったCDを学生鞄に仕舞い、店の中を見回す。
幸い、昨日の一件が尾を引いているのか客足は少ない。
「避難警報です!急いで逃げてください!」
「っ!?の、ノイズだ!逃げろ!!」
店員さん達に声をかけると、店員さん達はレジにロックをかけ、慌てて店を飛び出していく。
店の奥にも声をかけ、店内を駆け回って誰も残っていないのを確認してから俺は走り出した。
……よかった。逃げ遅れた人は誰もいない。でも、道の途中で逃げ遅れている人がいるかもしれない。
走りながらも周囲を見渡し、視覚と聴覚を研ぎ澄ませる。
キュピッキュピッ……
「ッ!?」
慌てて足を止め、靴裏をアスファルトに削られながら壁に張り付く。
特徴的な鳴き声に息を止め、気配を殺して角を覗くと……いた。
小型で最も一般認知度が高い〈蛙型個体〉が複数と、両手がアイロンみたいな形状をした〈人型個体〉。
どちらも一番よく見かける個体種だ。
どうやらこちらの様子には気が付いていないらしい。いや、正確には──
ズダダダダダダダッ!ダダダダッ!
建物に反響して鳴り渡る銃声。どうやら、特異災害対策機動部が応戦しているらしい。おそらく、戦闘しながら離れた場所まで誘導するつもりだろう。
ここは迂回しないと巻き込まれる。そう判断した俺は、急いで来た道を戻る事を決めた。一課
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