ガール・ミーツ・オッドアイズ
[3/3]
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
に危害を加えられる心配はないからいいのかな?でも連絡はできた方がいいと思うんだけど。
人懐っこそうなのにここまで一言も喋らないんだから、何か喋れない理由はあるんだろう。さすがにそれを直接聞くほど不躾じゃないけど……今度シャトレーヌの誰かにあったら聞いておこう。
考えるわたしを女の子は不安そうに見るので、わたしはとっさに笑顔を作った。
「ううん、いいよ。ごめんね、いろいろ聞いちゃって。溶けないうちに食べよっか」
女の子は浮かない顔のまま、再びアイスを食べ始める。わたしもひとまず聞きたいことは聞いたので自分のフラッペに口をつけた。カイスの爽やかな甘みが口の中に広がって、乾いていた喉が潤うのを感じる。ほんのちょっとリゾート気分になれた気がした。後でスズにはお礼を言っておこうかな……。
とりあえずこの子がアイスを食べたらそれとなく離れよう。あんまり引き留めると余計困らせてしまうかもしれないし、わたしも自分の用事があるし。
そう決めた時だった。
「え……?」
目の前の女の子が、人が行きかうにぎやかなフードコートが、さっきまでは意識もしていなかった店内の音楽が、消えた。
はっと周りを見回すとぼろぼろの椅子、まるで戦争の後のように残骸まみれの店、とぎれとぎれで今にも止まりそうな音楽ともいえない雑音がどこかのスピーカーから漏れている。
さっきまでいた場所が誰かに破壊しつくされて、わたし一人だけになってしまったような孤独感に強烈に身がすくんだ。
「……っ、みんなはいる!?」
あまりに突然のことに慌てて腰のモンスターボールを確認する。みんながいるのを確認して心の底からため息をついたのも束の間、まるでただの夢だったみたいに──。
「え……? あ、あれ……?」
わたしは、元の場所に戻っていた。大声を上げたわたしを周りの人達が怪訝そうに見ている。恥ずかしさと困惑で顔がかあっと熱くなる。何今の……?さっきまで普通にしゃべってたのに夢なわけ、ないよね……?
あまりに心臓がバクバクして、どうすればいいのかわからない。荒く息をつくわたしに周囲がざわつき始め、どこかで笑うような声が聞こえた気がした。
笑い声、わたしを嗤う人、何も言い返せない自分。怖い、怖い、また昔みたいになるのは……
「いや……!」
女の子がどうしているかも眼もくれずその場から逃げ出そうとするわたしに、真っ白な光が飛び込んできた。
[8]前話 [9]前 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ