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おっちょこちょいのかよちゃん
25 かよ子の母、山田まき子
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レクサンドルとアンナの兄妹との決闘、秘密基地争奪戦の鎮圧、丸岡修の長山君拉致の阻止・・・。あの兄妹との決闘は隣で見てたし、秘密基地の取り合いについてはすみ子って子の兄貴と同級生だから遠くから見てたよ。丸岡についても長山君って子の近所に住んでる知り合いが俺のさらに別の同級生がめちゃくちゃ怒ってたからさ、その戦いの様子を見てたんだ。君達が丸岡の落とし穴に落ちた時は・・・」
 三河口はポケットから一つの御守を取り出した。
「このおばさんの御守で地底まで落ちるのを止めたんだ。その後、丸岡の認識術と矛盾術を無力化させてかよちゃん達はオリガを倒し、逃げた丸岡を俺とその同級生の二人でぶっ飛ばしたわけだよ」
「そうだったの!?」
「うん、ごめんな、もっと近くで助けてやれなくて。実は俺にも『能力』があってね。それもとても強力すぎるからあまり使わないようにしてんだ。あの時は丸岡を遠くにふっとばしたからね。あれでも手加減したつもりだが・・・」
「え・・・?」
 かよ子は三河口にも自分が魔法の杖の説明書を解読できたり、オリガの相手の肉体をバラバラにして瞬殺するのを防ぐような謎の能力が備わっているのかと疑った。
「まあ、俺の話はまた今度話すよ。今日は君のお母さんとそのかよちゃんの杖の話を聞きに来たからね」

 かよ子の母は紅茶とおばさんが持って来たケーキを準備を終え、話を始めた。
「それでお母さん、この杖はいつから持ってたの?」
「そうね、かよ子と同じ小学生の頃からだったわね・・・」
「そうだったね。あの時は戦争が終わったころだったね」
 まき子も奈美子も当時の苦悩を思い出していた。
「戦争か・・・」
 戦後生まれのかよ子にも三河口にも戦中、そして終戦直後の明日の見えないような辛酸を味わった事がない。しかし、かよ子の母も三河口の叔母も思い出すだけで暗くなり、苦しく、そして辛く思い出すほど自分達にも戦争の恐怖や苦渋が伝わっていくのであった。
「ああ、ごめんね。二人とも」
「いえ、お気になさらず、戦争っていうのがとても恐ろしいものだというのが改めて分かりましたからね、にも関わらず、『あいつら』はまた始めようとするんですから・・・」
「そうね、戦争が終わって日本が負けてから大変だったわ。特に食料が足りなくて、あの頃は米軍(アメリカ)が憎らしくて、私達も米軍のジープが通りかかる度にいつ酷い事されるか分からなかったわ。ある時、お腹が減って歩き疲れた時、ジープが通りかかって来てアメリカ兵が降りてきて私に近づいてきて連れ去られると思ったけど、チョコレートをくれたのよ。アメリカの人は怖い人ばかりじゃないってあの時分かったわ」
「ちょっとまきちゃん、杖の話から逸れてるよ」
 奈美子が突っ込んだ。
「ああ、そうだったわね。あの杖は・・・」
 まき子は続ける。

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