第百二十八話 博多からその二
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「だから楽しみたい」
「そういうことだな」
「食べるたい」
こう話してだ、そのうえでだった。
英雄達は軍勢を博多に向かわせる前の晩に将兵達に河豚を食べさせた、勿論自分達も河豚を食べたがその献立は。
刺身に唐揚げ、鍋に白子のぽん酢だった。英雄はその鍋を仲間達と共に囲んで食べつつこんなことを言った。
「確かに食うとな」
「他のお魚はでありますな」
「食えなくなる」
こう峰夫に答えた。
「それだけの味だ」
「毒はなくとも」
「いい魚だ」
河豚はというのだ。
「実にな」
「左様でありますね」
「しかもこの河豚は毒がないか」
「尚且つ今大漁で」
このこともあってというのだ。
「兵達が一匹ずつ食べるだけです」
「獲れているか」
「はい」
その通りだというのだ。
「これが」
「そうか、ならな」
「ここで食べても」
「いいな」
こう言うのだった。
「存分に」
「そうたい、一人一匹なら」
「充分過ぎる」
「全くだな」
「では」
「河豚を食っていこう、そして」
英雄はさらに言った。
「酒もだ」
「それもたいな」
「飲んで食ってだ」
そのうえでというのだ。
「英気を養ってな」
「明日はいよいよ」
「博多だ」
そこを攻めるというのだ。
「そして博多から福岡を領有し」
「大宰府もたいな」
「手に入れる、門司城もだ」
九州の入り口にあるこの城もというのだ。
「手に入れる」
「そこも絶対にたいな」
「あの辺りを拠点とし」
「本州からものも運んで」
「九州を攻めていき」
そうしてというのだ。
「九州全土に琉球もな」
「手に入れるたいな」
「そうする、その前の英気を養う為に」
まさにとだ、英雄はまずはてっさに箸を付けた、そうしてぽん酢に付けてから口に入れて食べてだった。
そのうえでだ、こう言った。
「この味を楽しもう」
「そうするたいな」
「これからな、唐揚げも鍋もあるしな」
香織にこうも話した。
「白子もある」
「色々あるたい」
「その全てを食う、しかも毒がないからな」
このことについても言及した。
「肝も食える」
「河豚の肝といえば」
紅葉が言ってきた。
「私達が起きた世界では」
「毒が強いからな」
「食べられません」
「食い方はあったな」
「何か相当手間をかけて」
「そのうえで食っているな」
「河豚の毒は特別で」
テトロドキシンという、河豚一匹で人間なら二十人以上を殺すことが出来るかなりの強さを持つ猛毒である。
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