第百二十八話 博多からその一
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第百二十八話 博多から
英雄は十六万の大軍を自らが率いたうえで萩に集結させた、そしてその萩からいよいよ九州攻めにかかるが。
その中でだ、彼は萩城で仲間達にこう言った。
「萩、もっと言うと下関だが」
「ああ、ここはね」
下と関と聞いてだ、桜子が応えた。
「河豚だね」
「この浮島には毒のない河豚も多いな」
「そうだよ」
「ならだ」
英雄は桜子の返事も聞いてさらに言った。
「俺達も兵達もだ」
「河豚をだね」
「食おう」
この魚をというのだ。
「そうしよう」
「そしてだね」
「河豚を食ってな」
そうしてというのだ。
「英気を養い」
「そのうえで」
「九州攻めをはじめる」
「最初の景気付けだね」
「美味いものをたらふく食えばな」
それでというのだ。
「英気が養える」
「その為にも」
「ここは食おう」
河豚をというのだ。
「是非な」
「あたし達も食べるとなると」
桜子は笑顔になって言った。
「楽しみだね」
「河豚は好きだ」
「大好きだよ、刺身もお鍋も」
桜子はさらに言った。
「唐揚げもね」
「どれも好きか」
「だからね」
それでというのだ。
「今から楽しみだよ」
「ではな」
「河豚はいいお魚たい」
香織も笑顔で言ってきた。
「あんな美味かお魚は他になかとよ」
「河豚を食えばだな」
「他のお魚は食べられんたい」
香織はこうも言った。
「二つの意味で」
「美味くてだな」
「この世界ではないものも多かとが」
それでもというのだ。
「毒があるたい」
「だからだな」
「毒にあたってたい」
河豚の持っているそれでというのだ。
「死ぬたいからな」
「そういうことだな」
「伊達に鉄砲と呼ばれてなかとよ」
英雄達が起きている世界でもこの世界でも河豚は関西の方ではそう呼ばれることもあるのだ。これには由来がしっかりとある。
「当たると死ぬたい」
「鉄砲の弾に当たると死ぬ」
「そして河豚の毒にもたい」
「当たると死ぬな」
「だからたい」
「河豚は鉄砲だな」
「河豚のお刺身もてっさたい」
鉄砲の刺身ということだ。
「そう呼ばれるたい」
「そういうことだな」
「まっことたい」
「河豚はな」
「食べると他のお魚は食べられんたい」
「そうだな、そうしてだな」
「うちも大好きたい」
その河豚がというのだ。
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