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ジェミニの夢
【第3話】敵Pと救助活動Pと、友情P。
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のに。

 ────気恥しいんだろうナ。

 叶夢が言っていたように、あまり友達がいないのかもしれない。

「私からもお礼を言っていいカナ?」
「え?」
「叶夢とお友達になってくれて、ありがトウ」

 私の言葉に、心操クンの目が戸惑いに揺れた。

「……俺みたいなのと友達になって、本当に良かったのか?」
「ウン。叶夢、すごく喜んでたヨゥ?」

 ────人生初のお友達なのですよ!

 飛び跳ねて全身で喜びを体現する片割れを見て、喜ばない姉は居ない。

「まだ結果は分からないけどサ、仲良くしてあげてネ?」
「……ああ、分かった」

 神妙な顔付きで頷く心操クンの目は、確かに生きていた。

 ────良い目をしているネェ。

 叶夢と同じ、夢を諦めていない目だ。




「ただいマ〜」
『ただいまなのですよ!』
「おかえり!」

 我が家に着くと、玄関先でお父サンが出迎えてくれた。
 お父サンは仕事に行かなければならないとか何とかで、私たちも試験を受けるためにホテルに泊まっていて家を開けていたから、お互い数日ぶりの再会である。
 お父サンは俊敏な動きで私たちに近付き、頭に飛び付いたかと思えばわしゃわしゃと激しく撫で始めた。

「ワッ、ワッ! 何するのサ、お父サン!」
「HAHAHA! 試験お疲れ様!」

 そう言われて、やっとこれがお父サンなりの激励なのだと知った。

『ずっ、ずりーのですよ! 叶夢も、叶夢もー!』

 するりと【切替】が行われ、叶夢が無理やり【表】に出てきた。

「叶夢くんもお疲れ様!」
「えへへへ〜」

 【切替】後でもお父サンの手は止まることなく、叶夢はご満悦といった様子でそれを受け入れていた。

 ────まったく。

 心も身体も、他の人よりも成長している私たちなのに。
 お父サンにはいつまで経っても、甘えたがりである。



「試験はどうだった?」
「楽しかったのですよ!」
『筆記キツかったヨゥ……』

 私たちの報告を、お父サンは楽しそうに聞いてくれた。

「聞いてくださいおとーさん! 叶夢、人生初のお友達ができたのですよ!」
「へぇ、どんな子だい?」
「紫色で、目付き悪いです!」
「うーん、抽象的!」
『心操人使クン。ちゃんとお礼が言える良い子だヨゥ。雄英の試験を受けに来てたんダァ』

 名前を聞いたお父サンは思い当たる節があったのか、「ああ!」と手を打ち鳴らした。

「叶夢くんがゼロPの仮想ヴィランから助けた子だね?」
「み、見てたですか!?」
「もちろん! 審査員だからね!」

 胸を張るお父サン。
 そうだった。このひと、雄英高校の校長なんだった。
 そりゃ試験の審査
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