【第3話】敵Pと救助活動Pと、友情P。
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デカブツがブッ倒れていくのを見ながら、プレゼントマイクの試験終了の声を聞きました。
おねーちゃんのわざとらしい溜め息も聞こえます。
『ア〜ア、時間切れだヨゥ。叶夢』
「うるせーのです!」
呆然と座り込んでいる男子に近付いて、叶夢は手を差し出しました。
「叶夢は、眠瀬叶夢なのです! でも、お前の名前はまだ聞けてねーのですよ!」
────だから、教えろなのです。
ドキドキ高鳴る心臓を頑張って抑えつつ、男子の名前を聞きました。
紫色の目は死んでいるようで死んでいない。ヒーローに憧れてこんなところまでやってきた、命知らずの名前を知りたいと思いました。
「……心操人使、だ」
叶夢の手を掴んで立ち上がり、男子はそう名乗りました。
「ひとし……人使ですね!」
初めておねーちゃんとおかーさんとおとーさん以外の名前を覚えました!
嬉しさのあまり、人使の手を両手で強く握りしめてしまいます。
「人使! お前、ヒーロー科はダメでも、雄英高校には絶対に行くのですよ!」
ずいっと顔を近付けてそう言ってやります。
「はっ?」
「叶夢も一緒に行ってやるのです! お前、お友達少なさそうですから、叶夢がお友達になってやるのですよ!」
だから。
「諦めんな、なのです! 一緒に────ヒーローになるのですよ!」
「ネェ、叶夢」
『はいなのですよおねーちゃん!』
「筆記ギリギリでごめんネェ」
『しかたねーのです。叶夢もおねーちゃんも、頭はあまりよろしくないのはおとーさんのお墨付きですからね!』
「嬉しくないお墨付きだヨゥ……」
筆記試験を終えた帰り、家までの道のりをトボトボと歩いていた。
「……おい、あんた!」
後ろからの呼び止める声に振り返る。
そこには、心操人使が立っていた。
「あんた、眠瀬叶夢の親戚か……?」
そういえば、この姿では初対面だった。
「初めましてだヨゥ、心操人使クン。私は眠瀬夢見。叶夢の双子の姉サ」
「双子の……姉?」
「先日は大切な片割れが要らない世話を焼いてしまったようだネェ。ごめんヨゥ?」
────要らない世話ってなんですか! お友達の世話を焼くのは全然要らなくねーですよ!
非難の声が聞こえたが、無視する。
この間の仕返しである。
「いや、おかげで今日は筆記試験に集中できたし……その……今更なんだけどさ、礼を言っておいてくれないか?」
「叶夢にカイ?」
「うん」
直接言えばいいノニと思わず嘆息する。
あの試験のすぐあと、この子は叶夢と連絡先を交換してくれた。
お礼の一つや二つ、電話してしまえば直ぐだと言う
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