TURN23 タイの話その八
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「疲れとかないか?」
「ないが。また急にどうした」
「いやな。こうして連戦だからな」
「それは相棒もだろう」
ドイツもだ。プロイセンを相棒と呼んでこう言った。
「戦いが続いている。だがそれでもだな」
「疲れ自体はないさ。むしろ絶好調だぜ」
「ならいい。俺もだ」
「じゃあこの戦いもいけるな」
「そう思う。勝機は充分にある」
ドイツはエイリスに向かって進撃するドクツ軍も見た。そのうえでの言葉である。
「エイリスに勝てる」
「ならいいな。それでイタちゃん達も攻勢に出るらしいぜ」
「そこのことだがな」
レーティアもだ。ドイツの旗艦のモニターに出て来て二人に告げてきた。
「アフリカは彼等に任せることにした」
「そうか。アフリカはイタリンか」
「イタちゃん達に任せるんだな」
「私達はエイリス侵攻に専念する」
これがレーティアの今の作戦方針だった。
「一気に終わらせる」
「だが。イタリア達は大丈夫なのか」
ドイツは真剣に憂いていた。イタリンのことを。
「あいつ等は戦争についてはどうしてもな」
「弱いというのだな、祖国君も」
「率直に言うがな」
「それは私もわかっている。しかしだ」
だがそれでもだとだ。レーティアはドイツに言う。
「私達には援軍を送る余裕がない。エイリスに専念することがベストの選択だ」
「その通りだな」
レーティアもドイツも同じ考えだった。そしてこの選択は正しかった。だが、だった。
レーティアはドイツに対しては冷徹なまでに完璧に分析できた。他ならぬ彼女が率いている国であり何もかもがわかっていたからだ。だが、だった。
イタリンのことはわかっていてもだ。それでもだった。
「しかしな」
「イタリンはか」
「イタリンだ。ドクツではない」
このことが問題だった。
「だからだ。どうしてもな」
「そうだな。戦争を指揮することはできない」
「だからイタリンに任せるしかない」
レーティアは不安ながらもだ。政治的判断を下すしかなかった。
「ここはな」
「何もなければいいがな」
「まあそうだな」
プロイセンもだ。ここで言った。
「イタちゃん達は妹さん達は強いんだけれどな」
「あの兄弟は弱過ぎる」
ドイツは暗い顔でロマーノとイタリアのことを言い切った。
「弱いにも程がある」
「援軍を送りたい。正直に言うとな」
首を捻りながら言うレーティアだった。
「難しいものだな」
「戦争は政治の一手段か」
「そういうことだ。だから政治的に判断した」
「わかった。ではな」
ドイツも自分の上司の言葉に頷く。そしてここでだ。
マンシュタインもモニターに出て来た。そのうえで彼等に言ってきた。
「では総統、祖国殿、プロイセン殿」
「うむ、敵艦隊を発見したな」
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