第一部
呪縛
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《立華紫闇》は家を出る。
気を紛らわす為だ。
街を徘徊するが気は晴れない。
降りだした雨に打たれて歩く。
目前で魔術学園ではない一般校の生徒が以前、《江神春斗/こうがみはると》にやられた【刻名館学園】の連中に絡まれていた。
(俺が行っても無駄だろうな。[狩人]に通報して後は任せることにしよう。ここで動いたって俺が痛い目に遭うだけだ)
なのに紫闇は【魔晄外装】を出す。
そして刻名の集団に近付く。
気付くと彼は後ろから不意討ちを喰らわせ一人を殴り倒してしまっていた。
(ああー……そういうことか。もう取り返しが効く時期は過ぎちまってるのか)
大英雄《朱衝義人》への憧れは紫闇の心に巣食い、人生に根を張っているらしい。
まるで『呪縛』のようだ。
(俺が特別じゃないとかモブキャラだとか、んなもん知ったことかよ。負け犬で終わっちまう人生なんか嫌に決まってんだろッ!!)
刻名館の生徒は紫闇が前に逃がしてしまった相手だということに気付いて激昂し、外装を出すと一斉に襲いかかってくる。
しかし紫闇は逃げない。
今の彼は《佐々木青獅》と戦った時、そして以前に刻名の生徒達から逃げ出した時のようなことは絶対にしないと決意していた。
もう恐怖や苦痛に負けたくなかったから。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
五人の集団に突っ込み拳を振るった紫闇だったが簡単に攻撃を躱されてしまう。
空振りした紫闇が体勢が崩れたところを躱した男子とは別の男子が背中から攻撃する。
質の悪い不良が多いことで有名な刻名館の生徒だけあって喧嘩慣れしているらしい。
仲間との集団戦闘もお手の物。
学校での訓練をサボってはいても、恐らく佐々木青獅より手強い相手のはずだ。
紫闇はダメージのせいか耳が聞こえ難い。
打ち所も悪かったのか頭も痛くなってくる。
「ちく、しょう……! なんて弱いんだ……俺は……! こんな連中にさえ……」
紫闇の劣等感が怒りと化す。
更に怒りが闘志となって点火する。
彼の中で何かが爆発した。
『必殺技』
これまでのように【魔晄】を右拳に集め金色に輝かせると刻名館の生徒でもリーダー格のような男子に狙いを付けて踏み込む。
彼等は何故か微動だにしない。
(なら遠慮なくッッ!!)
渾身の力を相手の顔面にぶつけた。
直後、今までの必殺技とは比べ物にならない爆発が起こり金の粒子が飛散して辺りを包む。
リーダー格は吹き飛んで水たまりに落ちたま
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