第一章
[2]次話
ティギーおばさんのお話U
ティギーおばさんはこの日は洗濯のお仕事はありませんでした、ですがそれでも大忙しでした。それはどうしてかといいますと。
おばさんは今はお米で餅をついています、日本の道具であるという臼や杵を使ってそうしているのですが。
子供達にです、おばさんは腰を抑えつつ言いました。
「あんた達お父さん知らないかい?」
「お父さん?」
「お父さんならお外に行ったきり帰ってこないよ」
子供達はこうおばさんに答えました。
「さっき出て行ったけれど」
「五分位前だった?」
「お散歩に行ったのかしら」
おばさんは子供達のお話を聞いてまずはこう思いました。
「そんなこと後にしてくれたらいいのに」
「お父さんいつも決まった時間にお散歩行くよね」
「普段はお仕事から帰った時でね」
「それで今日はお休みだけれど」
「大体今行くよね」
「こうした時は手伝って欲しいわ」
子供達にお餅をひっくり返してもらいながら言うのでした。
「お餅つきって大変だから」
「というか何でお母さんお餅なんてついてるの?」
「パンとかジャガイモがあるのに」
子供達はその自分達のお母さんに首を傾げさせて尋ねました。
「お餅なんてついて」
「わざわざお米まで買って」
「この前食べさせてもらった固いお餅が凄く美味しかったのよ」
おばさんは首を傾げさせる子供達にその理由をお話しました。
「だからよ」
「それでなんだ」
「お餅をついているのね」
「そうよ、これが凄く美味しいから」
また言うおばさんでした。
「自分でも作ってね」
「それで食べるの」
「固くなってから」
「そう、だからね」
「今作って」
「それで後で食べるのね」
「そうするわよ、けれど太ってるせいかしんどいわね」
お餅をつくのを少し止めてです、おばさんは自分の腰を左手の前足でとんとんと叩きながら言いました。
「もう少し痩せや方がいいかしら」
「太り過ぎはよくないしね」
「やっぱりね」
「そのことも考えないとね、けれどうちの人は真面目なのはいいけえど」
それでもとです、おばさんはまた言いました。
「こうした時は手伝ってくれてね」
「それからお散歩行って欲しいのね」
「お餅つきが終わったから」
「そうよ、お父さんだって食べるでしょうし」
「そうよね」
「お父さんも手伝わないとね」
子供達はかわりばんこにお餅をひっくり返しながら自分達のお母さんに応えます、そうしておばさんは自分の太った身体にいささか苦労しながらお餅をついてでした。
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