第一部
挫折
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ろ!)
なら何故こんな目に遭うのか。
何故青獅には必殺技が効かなかった。
(どうして佐々木から逃げてるんだ)
紫闇の脳内に流れるのは【龍帝学園】へ入る前にぶつけられていた罵声。
必死に否定し続けてきたもの。
『才能が無い』
『無駄な努力』
『みっともない奴だな』
『お前なんかモブだろ』
紫闇の頭にベキリという音が広がる。
◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆
《立華紫闇》は自分のことを『特別』な人間だと思って生きてきた。
今まで自分の人生を苛んできた不幸はこれから訪れる幸福の前振り。
(そうじゃなきゃ俺の人生なんか)
何の価値も無いのだ。
何事も上手くいかず、ただ馬鹿にされ、欲しいものは得られない。
そんな人生が嫌だった紫闇。
だからあの魔晄によって拳が光る[必殺技]を身に付けた時は嬉しかった。
しかし全て勘違い。
不様に悲鳴を挙げて逃げている現状に対して彼は自覚せざるを得ない。
自分は特別な人間ではなく『凡人』
『主人公』ではなく『モブキャラ』
幻想が砕かれる。
現実を直視してしまう。
こうして見るも無惨な結果を晒した1ラウンド目終了のブザーが鳴った。
「止めるか?」
《斬崎美鈴》の声は冷ややかだ。
しかしその問いは今の紫闇に祝福。
救いの導きに思える。
『ダメだ、諦めるな』
自分の中にまだそんな声や想いが有り、抵抗しようと内側から押し留めたものの。
「……はい」
中止を受け入れてしまった。
「両者外装を消してフィールドから出ろ」
羞恥
悔恨
憎悪
怒気
後悔
悲哀
(ああ、何と言えば良いのか)
もしかしたら『死にたい』というのはこんな気持ちなのかもしれない。
思考を放棄したい紫闇だったが非情にも美鈴はそれを許すことは無かった。
「私も情が有る人間だ。貴様の教官としてハッキリと断言してやる。お前が大成することは無い。学生魔術師としても軍属になった後も最低極まりない人生が待つ。その末に使い捨ての駒として死ぬだろう」
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
美鈴の言葉が紫闇に刺さる。
しかし彼女は止まらない。
冷徹に残酷な事実を突き付ける。
「立華が努力してきたのは身体能力の程度を見れば理解できているつもりだ。しかし人間には適性や限界が有る。実戦形式とは言え特に強者でもない佐々木に訓練で臆す者に『
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