第一部
挫折
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ねぇか!)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
開始まで10秒。
館内にアナウンスが響く。
「外装を出せ」
美鈴の合図が掛かる。
紫闇はビクッと震えた。
その途端に堪え笑いが起きる。
嘲りも飛ぶ。
「もしかしてチキン?」
「ビビってるダセェ」
「啖呵切ってあれかよ」
紫闇は外野を無視。
【魔晄外装】を出して青獅を見た。
『怖い』
(その笑み消してやる)
体の震えと胃の痛みが治まらない。
しかし構わず開始ブザーが鳴る。
一気に踏み込んだ青獅は両手で灰色の長棒を突き出し相手の顔面に捩じ込む。
紫闇は反応できていない。
ひたすら痛みが走り抜けた。
(なんだこれ? 打たれたらこんな痛──)
再び灰色の長棒が来る。
今度は左肩を打ち据えられてしまう。
肩の骨が軋みを上げた。
紫闇は痛みで何も出来ない。
(このままじゃダメだ……打ち返せ!)
しかし涙で前が見えず、鼻血が気持ち悪い上に胃痛は戦う前より酷くなってきた。
(反撃しなきゃ、反撃だ、反撃するんだ)
無意識に叫ぶ紫闇の外装が纏われた右拳に【魔晄】が集まり黄金に輝き出す。
それを自分より身長が30cmは低そうな青獅の顔へ思いっきり喰らわせた。
拳が完全にめり込んだところで外装に宿った魔晄が放つ金の光が爆発する。
(倒れない? [必殺技]なのに何で?)
紫闇が戸惑っていても関係ない。
青獅の外装である灰色の長棒が迫り、そのまま紫闇の鳩尾に刺さった。
痛みと共にピシリと音が響く。
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
気付けば紫闇は逃げていた。
「ひいぃぃぃぃぃぃー!!」
無様に恥ずかしい悲鳴を挙げているのが自分だと気付いてはいても紫闇にはみっともなく逃げるしか出来ない。
青獅は背中から打つ。
紫闇が弱くとも容赦なく追い詰める。
彼は自分が弱いと解っているので油断せず攻勢に回り徹底的に叩き潰す。
守りに回ると勝てないから。
分を弁えているのだ。
自分に出来ることを突き詰めている。
しかしそのことが余計に紫闇を追い詰めて彼の心に亀裂を入れていく。
長棒と【異能】による炎でボロクソになっていく紫闇の口からは『御免なさい』と謝罪の言葉が飛び出して小便を漏らしてしまうほど。
(俺は特別なのに……)
本当に特別なのか?
自分に疑問視が湧く。
(特別に決まってるだ
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