第一部
足掻き
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戦いを求められるのが嫌になってきた所だ。
ちょうど良いだろう。
2ラウンド目の春斗は1ラウンド目よりも俊敏に動き回り一進一退に持ち込む。
結果は相討ちに終わった。
美鈴は肩を竦めて言う。
「貴様を二軍に格下げする。今よりも手を抜くなら三軍落ちも覚悟しておけ」
春斗は一切気にしていない仏頂面で二軍の生徒に混ざり素振りと型をメインに汗を流す。
「江神もエンド達と同じ変わり者か」
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四日目の訓練。
二軍を見ていた紫闇に寒気が走る。
強烈な怖気。
モジャモジャ頭で弱そうでやけに小柄。
(明らかに成長不良だろ)
紫闇は佐々木青獅の体格が同い年の平均と比べて小さすぎるのが気になっていた。
灰色の棒を外装に持つ彼はあっと言う間に相手から血達磨にされてしまう。
紫闇が初めて見た時から弱そうと判断した彼は本当に弱かったらしい。
(でも何でだ。俺は佐々木が)
怖くて仕方ない。
理由は不明だが嫌な感じがする。
五回目のダウンを奪われた青獅は直後に立ち上がりながら『にいっ』と笑う。
紫闇には彼が鬼のように見えた。
(何か有るのか? 俺には理解できない、感じ取ることが出来ない何かが)
◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇
入学して十日になるも状況は同じ。
相変わらず紫闇は三軍のまま。
実戦を許されない。
「ハルト、今度の休みは暇でしょ? 暇じゃなくても私の屋敷に来なさい。言っとくけど強制連行よ。意地でも付き合ってもらうわ!」
「学年序列一位が二軍の一人に拘るな。折角の格が下がってしまうぞ?」
春斗はまたもクリスの誘いを断る。
どうあっても戦わないつもりらしい。
彼は紫闇に近付いてきた。
「まっこと諦めが悪い。俺が戦いたい相手はこの場に居らんというのに何故わざわざ興味が無い奴の為に無駄な労力を掛けねばならんのか」
「江神、俺は決めた。無理矢理であろうが実戦をやらせてもらうつもりだ」
紫闇の言葉に沈黙した春斗は三軍の紫闇を馬鹿にすること無く考えている。
そしてただ一言。
「そうか」
しかしそれで終わりでは無かった。
「二軍でも一軍でも良いから上がってこい。俺は待っていることにしよう。見せてもらうぞ。エンドやレイアさんが気に掛けている力を」
春斗の言葉には熱が込もっていた。
目には闘志が満ちている。
一体何を見ているのか。
「ああ、必ず上がるから待ってろ」
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