第四部五将家の戦争
第七十三話将家という生き物
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良くやっている。実験部隊としての」
「指揮系統の問題です。前衛陣地に諸兵科連合部隊を設置するのであれば重砲部隊も組み込むべきです。前線指揮官の裁量を広げなければ意味がありません。
この場合、軍司令部の初動対処における選択肢は単純化するべきです。この場合は“現有戦力による陣地の固守。もしくは撤退か。増援を送るか”です」
「本線陣地の戦力化と全体の把握に注力するべき、という事か」
「問題は重砲の運用だ。前衛陣地の火力支援が重要な任務なのは理解しているが本線陣地への転用を行わなくては意味がないそれに弾薬備蓄の問題がある」
「二個大隊の運用ごときで支障が出る備蓄状況なのですか?それでは複線陣地など諦めた方がよろしいのでは?」
「口を慎め豊久!!」「これは失礼しました、参謀長閣下」
「――まぁ一昼夜全力で砲撃戦を続けるような状況は想定しがたい、というのはわかる。冬の間ならばな」
「春以降では状況が違います。前衛陣地の弾薬消耗を斟酌するべきではないかと、そして雨季、冬季に長期間に渡る攻勢で前衛陣地を貫けていないのであればそれは〈帝国〉の失態です、むしろ軍司令部が活用するべき状況ですよ」
さてどうしたものか、と益満は思考を巡らせる。豊久の発言はいささか極論ではあるが、豊久自身が極論を求められているからこそ“味付けをして”喋っているのだとも理解している。
「議論がずれているようだな。問題は“前衛陣地を支援する重砲の指揮系統”と“撤退の見極め”だ。――鍬井戦務主任、富成砲兵参謀、意見はあるか」
「それでは砲兵参謀より具申を、馬堂連隊長殿の意見ついてですが、前衛陣地の防衛のみを目的として諸兵科連合部隊を臨時編成するのであれば、重砲隊も組み込むことは問題ないと考えます。
但し、擲射砲大隊から将校を司令部に派遣する事を条件としたい。
それともう一つ、これはあくまで前衛陣地の防衛を目的とした臨時編成である事を強調していただきたい。
重砲部隊の指揮権は本線陣地に撤退が完了し次第、軍司令部の命令に従いしかるべき部隊に指揮権を委譲する事を計画に組み込むべきです」
「戦務からも一つ、戦闘団を臨時編成する際に必要なのは柔軟性です。時期を見極めたうえで部隊を再編するのは問題ないと考えます、あとは演習などで試験的に行ってみるのがよろしいかと」
如才なく豊久の言葉を否定せずに主導権を軍司令部が確保する体制を維持して見せた鍬井を豊久は楽しそうに見つめた。
上唇を指でなぞりながら思考していた保胤は豊久に視線を向けて尋ねた。
「前線指揮官として君はどう考える」
「初動の対応は前衛陣地の臨時編成された防衛部隊に一任、後退時期とその後の部隊運用については軍司令部主導、この区分けを
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