暁 〜小説投稿サイト〜
遊戯王BV〜摩天楼の四方山話〜
ターン17 錬金武者対赤髪の夜叉
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していた。糸巻の伏せモンスターは決して苦し紛れの壁などではなく、全てが計算づくだったのだ。そしてもっと言えば、それはアンデットですらない。

「かかったな?戦闘によって破壊されたマスマティシャンの効果、発動!カードを1枚ドローする……さあ鼓さんよ、どうするよ?アタシはどっちでもいいんだぜ?」
「面倒なものを……!」

 かすかな苛立ちをにじませて、鼓は思案する。彼女の墓地にあるビッグバンの効果を使えば、確かにこの発動を止めることはできる。しかし、その後が問題なのだ。ビッグバンはバトルフェイズに発動された効果を「無効にして破壊」し、それが成立して初めて全体破壊とバーン効果の処理が発生する。しかし糸巻が今発動したマスマティシャンはすでに戦闘破壊が成立して墓地に送られており、これを「無効」にはできても「無効にして破壊」することは不可能なのだ。
 ちなみに鼓の手に握られた最後の1枚の手札は、超重武者装留ファイヤー・アーマー。手札から捨てることによって場の超重武者1体の守備力をそのターンの間800ダウンさせる代わりに、ターンの間だけそのモンスターに完全破壊耐性を付与する強力な守りの要である。本来彼女の算段では、糸巻が何を仕掛けようともそれをビッグバンで止め、全体破壊からテツドウ−Oをこのカードによって守ることでがら空きになったところに守備力4000のダイレクトアタックを叩きこむつもりだったのだ。ここでビッグバンを使えば真紅眼の不屍竜とアダマンテに遮られダメージは通らず、かといって発動を許せば増えた手札から何を仕掛けてくるかは想像もつかないほどにリスクが高い。
 迷ったのは、ほんの1瞬だった。

「墓地に存在する超重武者装留ビッグバンの効果を発動。このカードをゲームから除外することで、その発動を無効とする」
「やっぱりここで切ってきたか?まあ、そうだろうな」
「お前の掌で動くのは極めて不愉快だがな。バトルフェイズを続行し、テツドウ−Oでメタルフォーゼ・アダマンテに攻撃。それは私のカードだ、いい加減返してもらうぞ」
「おお、そういえばそうだったか?あんまり長いことこっちにいたから忘れてたぜ」

 ターンを凌いだうえで厄介なビッグバンをほぼ無駄打ちに近い形で消費させたことに気を良くし、余裕の軽口を叩く横でアダマンテが巨大な車輪に捻り潰される。しかし、そのダメージは糸巻には届かない。

 超重蒸鬼テツドウ−O 守4800→メタルフォーゼ・アダマンテ 守2500(破壊)

「昔からとはいえ、心底しぶといものだ。メイン2に入り、テツドウ−Oの効果を発動。お前の命削りの宝札、私のアイアンドローを除外して計400のダメージを与える。これでターンエンド」

 糸巻 LP1500→1100

「アタシのターン。へっ、どうやら幸運はこっちに向いて
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