この勝負は護神の下に
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わたしも、緊張していると思われないようにさっと手を出した。
「いやはや強力な技で相手の体力を一気に削り、先制技で常にプレッシャーをかけ続ける!それでいて不要な追撃はしない細やかさ!感服いたしました!チュニンもさらに精進が必要ですね!」
さっき握手したキュービさんとは違い、わたしの手をがっちり掴んで大きく揺らすような握手だった。Zワザで体力を使ったわたしの体がちょっとふらつく。
【これぞまさにシェイクハンドですね】
「面白くないしアローラの管理者として自分たちが勝ったのにまず言うことがそれなの?」
相変わらずとぼけたようなスズ。わたしがそう呆れながら呟いた後も、チュニンは手を握ったままだった。
「チュニン、だめよ? バトルで負けたのに無理に捕まえるようなことをしちゃ」
「ただのコミュニケーションですよ!本気で捕まえるならもっとこう関節を極めるか寸勁でですね──」
「……っ、来ないで!」
手を離したチュニンが、なんでもない風にもう一度わたしの体に手を伸ばす。それを見てわたしは、反射的に飛びのいた。理由はわからない。でも、今の手には触れない方がいいような気がして……
「……チュニン?」
「あわわ……す、すみません怪盗さん!昔からポケモンたちと格闘技をやっていたせいか、つい気合が入ってしまいましたか!?別に殴ったりとかそういうことをしようとしたわけでは決して!」
だけど、より怖かったのは。ふわふわした表情のまま首をかしげるキュービさんの咎めるような呼びかけだった。チュニンもあわててわたしから離れて弁解する。
【さて、ひとまずはこちらの勝利です。今からでも残りのシャトレーヌを呼んできますか?】
「いいえ、楽しいバトルを見せてもらったし十分。ありがとう怪盗さん、素敵な夜だったわ!」
「今度会うときは……宝を頂くときかしら」
「ええ、ええ!でも私は何度でもお会いしたいわ。怪盗としての貴女だけじゃなく、普通の女の子としての貴女のことも知りたいし、仲良くしたいもの!」
「……それはまあ、出来たら」
怪盗として来てるのに予告状を出した相手に何度も会いに行くのもどうだろう、というのもあるけど。そっけなく答えるのが精いっぱいだった。
だけどその返事にキュービさんは花が咲いたように満面の笑みを浮かべて、わたしに小さく手を振った。
「大会にも出てくれるみたいだし。活躍、期待しているわ。優しい怪盗さん」
「……呼ばれて、こうして予告状を出した以上、絶対に盗み出して見せる。わたしは……」
【快刀乱麻を断つがごとく全ての状況を切り開く怪盗、アッシュ・グラディウスですから。楽しく、盛り上がる興行になると思いますよ?ご期待あれ】
スズがわたしの言葉を持っていく。それに不満ではなくわずかな安心を
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