第四章 カズミちゃんはアイドル?
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昭刃家に、朝が来た。
まあ日本全体等しく朝であるが。
「朝メシ出来たぞー」
昭刃智成が、よれよれのスーツ姿で、小皿大皿を次々無造作に、ちゃぶ台へと並べていく。
スーツなのは、これから仕事に行くためである。
よれよれなのは、貧乏なのと、あまり気にしないためである。本人も家族も。
「やったー! 起きたばっかだけど腹減ったあ!」
「腹減ったあ!」
叫び声と共にふすまが開いて、昭刃和美と弟の駆が、寝間着代わりのTシャツとショートパンツ姿のままで、何故だか理由は分からぬがバタバタずりずり匍匐前進で部屋へと入ってきた。
「あたしの胃袋は常に準備おっけえええい!」
「おれもだあ!」
ずるずる這い上りながら、ちゃぶ台に着く姉と弟。
しかし、テーブルの上に置かれた料理を見た瞬間、二人の表情は冬の北風に当たったかのごとくに凍りついていた。
「なにこれ……」
ぼそり呟くカズミ。
ハンバーグの上に目玉焼きが乗っており、横にはポテト。のみならず、朝からなんではあるが、小さなハムカツまで添えてある。
と、メニューだけなら、ごく普通。
ならば何故に北風が吹くかであるが、ことごとくが、なんともしょぼいのである。
しょぼいというか、一週間ほっといてカリカリ乾燥して縮んでしまったかのような感じだ。
シベリアの永久凍土から、数万年前のハムカツやフライドポテトを発掘して、電子レンジにかければ、このようになるだろうか。
「なにこれ、ってちょっとハワイっぽいだろ? こうするだけで」
朝から手間暇を掛けたこと、ありがたく思えといわんばかりの智成の表情であるが、期待通りにならないのが世の常。世の無情。
「まずそ」
カズミは、げんなり顔で首をガクーッと落とした。
「犬も食わねえ」
駆が、左手で鼻を摘まみながら、手にした箸で皿をぐいーっと遠ざけた。
「食ってからいええ!」
怒鳴る智成。
ズダーン、と足を激しく踏み鳴ら、そうとするが畳に着く寸前にブレーキを掛け、ふわっと落としたのは、以前にこんなことして畳どころか床までぶち抜いて、大穴を開けてしまったことがあるからである。
「しょうがねえな。空腹という名の調味料に一縷の望みをかけて、いざ! ……いただきまーす」
「いただきまーっす」
と、箸を口に運ぶ二人。
「まずっ! 見た目通りまずっ! 道に落ちてるハンバーグっぽい形のなにかを拾って洗ってソースかけただけじゃねえの? それと横にあるこのゾウリみたいの、ひょっとして駄菓子屋で売ってるビッグカ
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