第二章
[8]前話
「ここに来る途中で急によ」
「お家に忘れものをしたのよね」
マニージャは友人に笑って返した。
「私が言って」
「先にここにいてねってね」
「言われてよね」
「ここに来たら」
「私が待っていたのね」
「もう忘れものは取って来たかしら」
ファランギースは面白そうに笑ってだった、マニージャに尋ねた。その手には水を汲む水瓶がある。
「それで」
「急いで取って来たわ。あんたはどうかしら」
「私もよ」
ファランギースは笑ってマニージャに答えた。
「取って来たわ」
「それは何よりね、じゃあ明け方だから」
「お月様が見えるけれどね」
「ええ、水汲みをしましょう」
「折角だから」
こう話してだ、そうしてだった。
二人は水を汲んだそうしつつこんな話をした。
「ジンニーヤに聞かれていたみたいね」
「何時の間にか」
「それで私達が明け方起きられないって思って」
「今起こしたのね」
「真夜中にね」
「あえてね」
「そうされると」
これがと言うのだった。
「お節介だけれど」
「それでもね」
「水汲めたから」
「込まないで」
「それならそれでね」
「いいわよね」
こんなことを話してだ、二人は水を汲んでいきそれが終わってからだった。こう二人で話した。
「何はともあれ感謝しましょう」
「ジンニーヤにね」
「起こしてくれてすいている時に水汲みさせてくれたから」
「このことは素直に感謝しましょう」
「彼女を私達のところに導いてくれたアッラーにも」
「アッラーの偉大さにも」
二人で話して家を後にした、そしてその日は水汲みの仕事をせずに済んだこともアッラーに感謝した。イスラムに伝わる昔話の二つである。
ジンニーヤの灯り 完
2019・9・4
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