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ヘタリア大帝国
TURN21 富嶽その十一
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「あの、バリア艦でしたら」
「んっ、何かあるのか?」
「デーニッツ提督に策が」
「はい、潜水艦は姿が見えません」
 エルミーは潜水艦の最大の特徴であるそのことから話していく。
「だからです。ここはです」
「そのバリア艦を配備している敵艦隊に密かに接近してか」
「鉄鋼弾で奇襲を仕掛けるというのはどうでしょうか」
「そうだな。そうしたやり方もあるな」
「若しも航空母艦がその時にまだ配備されていないのなら」
 日本帝国も空母の配備を急がせているがだ。それでもなのだ。
「そのやり方でいきましょう」
「そうするか」
 こうした話もしていた。富嶽のことも他のこと課題にすべきことだった。そしてだ。
 そうした話をしていたのだった。そしてだ。
 東郷は海軍長官の部屋に戻った。だがその部屋に入るとだ。すぐに後藤が来てこう言ってきた。
「間も無くです」
「ああ、そろそろ宇垣さんが帰って来るな」
「そうです。ようやくです」
「どうもいないといないとでな」
「寂しい方ですね」
「そう考えると不思議な人だな」 
 東郷は少し笑ってそのうえで報告する後藤に話した。
「女性将兵の間でも評判は悪くなかったな」
「お節介ですけれどね」
 微笑みだ。後藤は東郷の言葉に応えた。今東郷は自分の席に座っていて後藤はその前に立っている。そのうえで二人で話しているのだ。
 その中でだ。後藤は笑いながら話すのだった。
「それでも真面目で細かいところにも気付いてくれて」
「しかも女性に対して紳士だしな」
「はい、清潔な方なのは事実です」
 何だかんだでだ。宇垣は人柄はいいのだ。
「ただ。本当にお節介が過ぎまして」
「そこが困ったところか」
「私にもお見合いの話を持ってきていますよ」
「そして家庭を持て、か」
「男性将兵にもしきりにそう言っておられます」
 宇垣はそうした意味では公平だった。世話焼きなのは確かだ。
「そしてそれはですね」
「ああ、俺に対してもな」
 他ならぬ東郷自身に対してもだ。そうだというのだ。
「言ってきているさ」
「そうですよね。やっぱり」
「だが俺はな」
 そうした話はだ。どうかという東郷だった。
「そうした話はな」
「まだ、ですか」
「もう生きている筈がないがな」 
 その顔に珍しく寂しいものも含ませてだ。東郷は後藤に話した。
「それでもだ」
「ううん、長官も意外と純情なんですね」
「ははは、俺は純情だったのか?」
「そう思いますけれど」
「そう言われたのははじめてだな。けれどな」
 だがだ。それでもだというのだ。
「とにかく俺はそうした話はいい」
「そうですか」
「宇垣さんはまたそうした話を持って来るだろうがな」
「それでもですね。後間違いなくです」
 後藤は眼鏡の奥
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