第一章
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ジンニーヤの灯り
バグダートの古い話である、この街は非常に栄えており人も大変多かった。そして人が多い分水汲み場となっている井戸や川辺は何処も水汲みをする女達で混んでいた。
それは町娘マニージャも同じで彼女はいつも家が使っていて彼女が水汲みの仕事をしている井戸が毎度混雑していることに困っていた。
それで友人のファランギースに言った。
「もっと空いていればいいのにね」
「井戸がよね」
「ええ、本当にそう思ってるわ」
こう言うのだった、目は大きくきらきらとしていて黒髪は実に奇麗だ。小柄で胸の大きさが目立っている。ファランギースはマニージャと正反対にすらりとした長身でやや垂れ目である、やはり髪の毛の色は黒であり見事な長さだ。マニージャは長身のその友に話した。
「いつもね」
「それ私もよ、けれどね」
「けれど?」
「何でも明け方に行けばね」
その時はというのだ。
「空いているらしいよ」
「その時間はなの」
「そう、だから一緒に明け方に起きて」
そうしてとだ、ファランギースはマニージャに話した。
「それで井戸に行ってみる?」
「そうね」
そえならとだ、マニージャは頷いた。そうして二人で明け方に一緒に井戸に行こうと約束した。だがその二人を。
道の片隅から女のジンであるジンニーヤが見ていることは気付いていなかった、そして二人は気付かないまま明日のことをさらに話して別れた。
そしてマニージャは床に入って寝ているとその部屋の窓から。
ファランギースが声をかけてこう言ってきた。
「行きましょう」
「あら、もうなの」
「そう、明け方よ」
こう言ってきた、窓の外を見るとファランギースの周りは明るい。とはいっても昼の様に明るくはなく明け方の淡い明るさだ。
その明るさを見てマニージャは間違いないと思った、それでだった。
ベッドから起きて部屋を出て家族を起こさない様に水汲みの水瓶を手に取ってそのうえで家を出た。そうしてファランギースと共に外に出たが。
すぐに気付いたことがあった、それは何かというと。
明るい、だがそれは月明かりのせいであった。まだ明け方ではなく月は夜空に輝いている。そのせいで明るかったのだ。
まだ真夜中だった、そして。
自分の前を進むファランギースの足元は明るい、彼女の服の足元から火花が飛んでいる。そのことからも明るかった。それでマニージャはわかった。だがここで若し今の彼女が何なのか彼女自身に言うと機嫌を損ねて何をするかわからないと思い。
彼女について井戸まで言った、するとファランギースはマニージャの方を見てこんなことを言ってきた。
「少し待っていてくれるかしら」
「どうしたのかしら」
「ええ、お家に忘れものをしたから」
だからだとい
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