第三章
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「もうそれならですよ」
「ドイツに勝てるか」
「勝てます、もうナチも敵じゃないです」
その紅潮する顔で言うのだった。
「あれでどんどん攻撃して」
「ナチの奴等を倒していくんだな」
「そうしていけばいいんですよ、そして俺達も」
「戦っていくか」
「そうしましょう、これからも」
こう言うのだった、カチューシャロケットの威力は兵士が見ても明らかだった。そしてドイツ軍の方も。
カチューシャロケットの攻撃を受ける度に歯噛みをして言った。
「また来たな」
「どんどん出て来る歩兵や戦車も厄介だがな」
「トーチカや鉄条網も」
ソ連軍は防御戦術を得意としている、その為トーチカや鉄条網はドイツ軍の将兵達にとって脅威であったのだ。
「航空機も多い」
「大砲もかなりだけれどな」
「あれも本当に厄介だ」
「カチューシャロケットもな」
「まるでスターリンのパイプオルガンだ」
「あの男の音楽みたいだ」
その一斉射撃の様子とロケットが発射される時の音からこう呼ばれていた、T−34が砲塔からハッチを二つ開けた姿が前から見ると鼠を思わせるところから鼠戦車と呼ばれることと同じである。
「あれも厄介だな」
「出て来たら真っ先に潰したいな」
「鼠戦車共々な」
敵である彼等も言うことだった、ソ連具は当初確かに壊滅状態でありソ連も滅亡の瀬戸際にあった。しかし工業を中心とした国力の総動員とアメリカ等連合国の援助も受けて。
次第に戦力を立て直し反攻に転じ最後はドイツの首都ベルリンを陥落させ勝利を手にした。ジューコフはこの時にまた言った。
「役に立った兵器はT−34とな」
「カチューシャロケットですね」
「やはりあれですね」
「陸上兵器ではな、この二つの存在がないとだ」
それこそとだ、周りの部下達に言うのだった。
「果たしてだ」
「我々は勝てたか」
「ここまで戦えたかですね」
「わからないですね」
「全くだ、まさに我々の救世主だった」
陸上兵器で最も役に立ったものの一つだったというのだ。
カチューシャロケットのことは現代にも伝わっている、その驚異的な広範囲への攻撃力でソ連軍の重要な戦力であった。そしてその力でソ連を勝利に導いた兵器の一つとさえ言われている。そして以後もこうした兵器が近代兵器として使われているがこのことからもこの兵器の凄さがわかると言えよう。少なくとも今ここに書かれるだけの兵器ではあったことは間違いのないことであろう。
カチューシャロケット 完
2019・7・7
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