第五章
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「底意地が悪くて強い人にはへこへこへらへらで弱い者いじめが大好きでケチで図々しくてがめつくてね」
「うわ、最悪ね」
「そんな奴と付き合ってたの」
「それじゃあ幾ら顔がよくてもね」
「絶対に嫌よね」
「そう、だから付き合って」
そうしてみてというのだ。
「すぐに別れたわ、今何処かの高校で有名な嫌われ者らしいわ」
「あまりにも性格が悪くて」
「それでなのね」
「確かに聞いてると酷い奴ね」
「最悪の奴ね」
「そいつと比べたら」
それこそというのだ。
「淳之介さんはね」
「その彼氏さんね」
「今の人はとてもいい」
「そうだっていうのね」
「そうよ、あいつと比べたら」
中学校の時に付き合っていたそいつと比べればというのだ。
「全く違うわ」
「月とスッポンね」
「文字通りに」
「そうだっていうのね」
「本当にね」
実際にと言うのだった。
「もっと言えば宝石とゴミよ」
「性格ね」
「本当にそれが第一で」
「幾ら顔がよくても性格が悪いと駄目」
「それは事実ってことね」
「そのことがわかってるから」
美来は今度は手の準備体操をしつつ言った。
「私今とてもね」
「いいのね」
「満足してるのね」
「そうなのね」
「そうよ、今日もね」
やはり笑顔で言うのだった。
「淳之介さんとね」
「帰り道にデート」
「それを楽しむのね」
「それで今度の休日は」
美来はこのことにも言うのだった。
「一緒にね」
「デートね」
「その時もっていうのね」
「そうよ。やっぱりね」
今度は何といってもという口調だった。
「いい人とお付き合い出来たら」
「それで幸せ」
「そうだっていうのね」
「ええ、何といってもね」
笑顔で言う美来だった、そしてだった。
美来はこの日も磯崎と共に帰り道を一緒に歩いた、そしてそのうえで彼の人柄と共にいて楽しむのだった。この上なく幸せに思いつつ。
恋人はラガーマン 完
2019・4・17
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