第四章
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「凄くね」
「いいのね」
「あの人と一緒にいたら」
「ラガーマンのあの人と」
「そうだっていうのね」
「ええ、こんないいことはね」
それこそと言うのだった。
「ないわよ」
「外見怖そうでね」
「結構野暮ったい感じもするけれど」
「人は外見じゃないし」
「それによね」
「凄く強そうに見えるから」
「そう、実際に凄く強いから」
それでとだ、美来は言うのだった。体育の授業で身体を動かす前の準備体操をしながらの言葉だ。紫の半ズボンと白い上着という体操服だ。
「もう誰もね」
「声をかけないのね」
「美来ちゃんに対して」
「その辺りのチンピラもヤクザ屋さんも」
「そうだっていうのね」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「ちゃんと守ってくれるし」
「二メートル近くて筋肉質ならね」
「それだけで勝てないって思うからね」
「チンピラとかヤクザ屋さんって強い相手には向かわないから」
「だからね」
「そう、本当にね」
美来は友人達に屈伸をしつつ話した。
「有り難いわ」
「そうなのね」
「それじゃあね」
「美来ちゃん満足してるのね」
「あの人に」
「満足なんてものじゃないわ、しかも紳士だし」
美来はこのことについても話した。
「ラグビーは紳士がするスポーツだって言って」
「本場じゃそうなのよね」
「イギリスだとね」
「貴族とか上流階級の人が楽しむ」
「そうしたスポーツよね」
「そうだって言って」
磯崎にしてもというのだ。
「いつも紳士だし」
「だからなのね」
「それでなのね」
「そのことでも美来ちゃん満足していて」
「楽しくお付き合いをしているのね」
「そうよ、ラガーマンっていっても人によるけれど」
それでもと言うのだった。
「強くて優しくて紳士なのよ」
「だったらっていうのね」
「お顔は外見が怖くても」
「そんなことは気にならない」
「満足出来るのね」
「ええ、本当にね」
実際にと言うのだった。
「今もね」
「そうなのね」
「それじゃあね」
「私達もね」
「人はお顔じゃない」
「人間性っていうのね」
「いや、実は私ね」
美来は今度はアキレス腱を伸ばした、自分達に教えている体育教師は準備体操に五月蠅いのでそれに務めているのだ。
「中学校の時顔のいい同級生と付き合っていたけれど」
「いいのは顔だけ?」
「それだけだったの」
「性格最悪だったの」
「そんな奴だったの」
「ええ、付き合ってみたら」
そうして間近にいてその本質を見ればというのだ。
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