第四章
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ふとだ、継母はその彼女をちらりと見て呟いた。
「おや、あの娘似てるね」
葉限にと言った、その言葉を聞いてだった。
華限は自分の母に用足しに行くと言って離れてだった、そうして葉限を見付けて彼女にすぐに囁いた。
「お母様が見掛けたから」
「えっ、そうなの」
「そう、だからね」
それでというのだ。
「ここはね」
「すぐにお家に帰った方がいいわね」
「貴方にとっては残念だけれど」
それでもというのだ。
「ここはね」
「わかったわ」
葉限は渋々でもそうしなければならないとわかった、それでだった。
急いで家に戻ってことなきを得たがこの時金の靴の片方を急いで家に帰って駆けたが為に抜けて失った。葉限はこのことを残念に思ったが仕方がなかった。
それで諦めていたが暫くしてだった、越の王である句践からの使者が来て言ってきたのだ。
「王様がなの」
「そうなの、前のお祭りで誰かが金の靴を拾って王様に献上されたそうだけれど」
「まさか」
「貴女が落とした靴ね」
それだとだ、華限は妹に話した。
「絶対に」
「そうよね」
「それで王様はこの靴の主はかなりの美女に違いないと言われたそうなの」
「それでなの」
「そう、その主を探しているそうなの」
「じゃあ」
「貴女が主だと名乗り出れば」
その時はというのだ。
「実際に今靴を履いて持ち主が誰か探しているそうだけれど」
「私の靴だから」
「貴女が履けばね」
それでというのだ。
「間違いなく靴は貴女のものになるわ」
「そうなるのね」
「ええ、行くわよね」
華限は妹に笑って尋ねた。
「そうすれば靴は返ってくるわよ」
「いえ、靴は取り戻したいけれど」
それでもとだ、葉限は姉に話した。
「諦めるわ」
「どうしてなの?」
「今王様はずっと肝を舐めておられるそうね」
「苦い肝をね」
「それは絶対に前に呉に負けた怨みを晴らす為よ」
葉限はこのことを察していた、その肝の話から。
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