二十九 怒りの引き金
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になりますので」
右近/左近は血継限界の持ち主、そして鬼童丸は珍しい蜘蛛粘菌を分泌する体質だ。
新鮮な血が必要だから、とメスを取り出しながら熱心に語るカブトのマッドサイエンティストぶりに、大蛇丸は呆れたように手をひらひら揺らした。
「お好きになさい」
大蛇丸の了承を得たカブトが満足げに、倒れ伏す左近/右近、そして鬼童丸の許へ近寄る。
「やめろォ!!!!!」
煙が晴れてゆくにつれ、鬼童丸と左近/右近の現状が理解できたナルが思わず飛び出す。
同時に、鮮血が舞った。
「……一足、遅かったようねぇ」
腕を組み、優雅に冷笑する大蛇丸と、カブト、そうしてもう動かない彼らを、ナルは呆然とした面持ちで見つめた。
カブトにメスで掻っ切られるその瞬間を目の当たりにしたナルの髪がざわざわと逆立ちはじめる。
かつては敵だったけれど、仲間として今回、同じ班になった元・音の五人衆。
ほんの数日前まで、同じ宿に泊まり、腕相撲までした相手。
顔を伏せ、大蛇丸とカブトの前で立ち竦むナル。
飛び出してしまった彼女の動向を木の影から窺っていたヤマトの木分身は唇を噛み締めた。
(マズい…!!)
空のような澄んだ瞳の青がじわじわと赤くなってゆく。
爪が徐々に長くなり、頬の三本髭のような模様が色濃くなってゆく。
眼に見えるほどの赤いチャクラが迸り、怒りの形相で大蛇丸とカブトを睨むナル。
彼女の傍で横たえる左近/右近、鬼童丸はピクリとも動かない。
それは紛うことなき、遺体だった。
「よくも…!!よくも…左近と右近を…!!鬼童丸を…!!おめーらの昔の仲間を…!!」
激昂するナルのツインテールにしている髪が解けてゆく。
重力を無視した黄金の毛が空中でゆらゆら揺れた。
九尾のチャクラをその身に纏い始めたナルを、大蛇丸は愉快げに見やった。
「やっと…────面白くなってきたわねェ」
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