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独裁者になってみた
第六章

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「本当に」
「そして暗殺もだ」
「ああ、ヒトラ―何度も暗殺されかけたんだったな」
「スターリンは異常に警戒していた」
 その暗殺をというのだ。
「そうしていた」
「大変だったんだな、独裁者も」
「気の休まる間もなかった」
「今もだよな」
「あの将軍様もそうだろ」
 徹はここでも北朝鮮の話をした。
「何だかんだでな」
「色々言われてるな」
「暗殺を警戒してるってな」
「そのせいで粛清もか」
「権力闘争にも負けたらな」
「独裁者でもな」
「寝首掻くってそれもだな」
 まさにというのだ。
「そういえば」
「実力ある奴はのし上がるからな」
「それで自分の地位を脅かすか」
「そうした奴も警戒してな」
 そしてというのだ。
「粛清するからな」
「常に見ていないとな」
 修治はゲームのことから話した。
「本当にクーデターとかな」
「有り得るだろ」
「軍だってな」
 権力を支える武力を持っているこの組織もというのだ。
「将軍とかな」
「叛乱考える奴が出て来るだろ」
「そうだからな」
「だから軍隊にもな」
「目を光らせないとな」
「すぐに叛乱起こるだろ」
「俺粛清とかは嫌いでも」
 だからゲームでもしなかった、修治は自分が言った通り弾圧や粛清や虐殺はせずにあくまで独裁者であるだけだったのだ。
「そうした奴は気付いたら左遷する」
「そうしていったんだな」
「片っ端からな」
「それだけでも大変だったよな」
「ゲームをしてて信じられるのは」
 それこそというのだ。
「自分だけだったよ」
「そうなったな」
「ああ、だからな」
 そのことを思い出すと、というのだ。
「気の休まる暇がな」
「ないよな」
「側近も信じられなかったんだぞ」
「側近もだっただろ」
「寝首掻こうとしてる奴いたりな」
「そんな世界にいつもいたらな」
「本当に疲れるな、権力を独占して何でも出来ても」
 それでもとだ、修治はまた話した。
「気が抜けなくてな」
「気の抜ける暇もなかったな」
「それが独裁者なんだな」
「世の中いいことばかりじゃないっていうけれどな」
「独裁者もだな」
「そういうことだよ」
「そのこと納得したぜ」
 修治は腕を組んで考える顔になって徹に答えた。
 そしてだ、彼にこうも言った。
「独裁者になんてなるものじゃないな」
「現実はそうだよな」
「ああ、本当にな」
 こう言うのだった、独裁者は決していいものではないむしろなるものではない。これが彼の結論であった。


独裁者になってみた   完


                 2019・10・30
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