14,ロール・プレイ
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た手に触る前に、洞穴の中に完全に飲み込まれてしまった。
中央付近に集まった全プレイヤーに言いようのない沈黙が訪れる。
「……あいつ、どうなった?」
エギルが呟いた。穴からは、何も聞こえてこない。
悲鳴も
戦闘音も
ポリゴン片となる音も。
沈黙だけが過ぎ、やがてアチラコチラの穴から獣の唸り声が響いてくる。
ごくり、自然につばを飲む。
最後の数発で済むはずだったのに。
ココに来て狩人は真の力を解き放っている。
暗がりから怯える瞳を見つけ、それを永久の闇に連れ去る気だ。
最速の暗殺者は地獄の底から再び雄叫びを上げた。
「この状況、どうすんだよ?」
誰かが、全員の気持ちを代弁した。
10分がたっても、状況は改善されなかった。いや、最悪に向かっているといってもいい。
コチラの気持ちが途切れる瞬間を察知して、豹王は五度俺達の前に姿を表した。
そのたびにコチラは手酷く切り裂かれ、一度などタンクの青年が洞穴の中にまで咥えられ、運ばれた。
どうにか数人が穴に半分まで体を運ばれかけたタンク役を取り戻すと、タンク役は
「眼が……あいつらの眼が……」
と言ったきり、倒れてしまった。
彼は円の中心で未だに気を失っている。
既に半数近くが精神を擦り切れさせ、ふらふらと揺れている。
視線は定まっておらず、次の攻防では死者すら出しかねないだろう。
かくいう俺ももう限界寸前で、正直これ以上時間がたてば周りなんて見ていられるか分からない。
自分の命を握られているという恐怖はレイド全体に重くのしかかっていた。
こういう時はどうするって言ったか、俺は攻略会議での一幕を思い出そうとした。
対策は白兵戦、その為には誰かがあの豹王を攻撃可能な場所で止めねばならない。
予定では筋力値の高いタンクが攻撃を敢えて食らい、こらえるはずだった。だが、同じタンクの被害者がいる以上は出来ないだろう。
恐怖で満たされた心では恐らく力は発揮できない。
「――オシ、やるか」
やるなら今。そして出来るのは、躱せるのは俺だけだ。
意を決して、前に出る。
何人かが緩慢な目線で俺の方をちらりと見て、興味を失っていく。
「――クロウさん?」
隣で剣を構えていたヤヨイが声をかけてくる。
その声掛けに遅れてキリトやエギルもコチラを見る。
「――キリト、止めは任せるぞ」
やや沈黙があって、キリトが何かを叫んだ。
俺がボスをおびき出す。そのことに気付いたらしい。
穴から三メートルの所で、一旦歩みを止める。
この距離なら躱せるという、確信のある距離だ。
ここからはチキンレース。
俺と豹王。どちらが疾いかを決めるだけの戦いになる。
「悪いな
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