第一章
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自業自得と呼ぶにも
友人の県会議員大村衆握が離婚したと聞いてだった。侭田大典はすぐに彼の話を聞いた。侭田は元々職場では組合のことばかりで碌に働かなかったがこの日無断欠席をしてそのうえで大村の家に行ってそうしてだった。
彼の家で朝から飲みつつ話を聞いた。
「お前離婚したのか」
「ああ、そうだよ」
大村は侭田にその通りだと答えた、眼鏡をかけ髪型は整えているが目はまるでこ腐る直線の魚屋の鯖のそれの様な目だ。侭田はサラリーマンだが自己主張だと組合を使って経営側に認めさせた金髪でいかつい顔に濁った目を持っている。
その侭田にだ、大村は言った。
「それでもう女房は家を出たよ」
「それで一人か」
「ああ、そうなってな」
それでとだ、大村は家の中で何処から仕入れたかわからないナポレオンを飲みつつ一緒に飲んでいる侭田に話した。
「ガキもな」
「いなくなったか」
「そうなったよ」
こう言うのだった。
「それで慰謝料請求されてるんだ」
「どれだけだ?」
「俺の財産の半分位な」
「多いな」
「俺が悪いって言ってな」
それでというのだ。
「要求してきてるんだよ」
「それでまたどうしてなんだ」
侭田は大村に離婚の原因を尋ねた。
「一体」
「俺が浮気をしてな」
「そんなの普通だろ」
何でもないとだ、侭田は大村の話を聞いて言った。
「それは」
「ああ、けれどな」
「それをか」
「女房は怒ってな」
それでというのだ。
「離婚だって無理に離婚届にサインしてな」
「お前の欄にもか」
「書いてそうして役所に提出してだよ」
そのうえでというのだ。
「離婚ってなったんだよ」
「印鑑も押してか」
「そうだよ」
大村は不機嫌な顔で答えた。
「これがな」
「とんでもない話だな、自分がサインして出さないとな」
「離婚も成り立たないよな」
「それ弁護士に言えよ」
侭田は大村にすぐにアドバイスした。
「菅納だったら動いてくれるぜ」
「菅納衛か」
「ああ、あいつならな」
二人の大学からの同期であり『市民活動』も一緒に行っていた、三人共今も持ちつ持たれつの関係である。
「助けてくれるぜ」
「そうか、じゃああいつに頼むな」
「金はあるよな」
「安心しろ、ちゃんとあるぜ」
「お前も貯め込んでるからな」
「政治家は金かかるって言うよな」
大村は侭田に下卑た笑顔で話した。
「あれは嘘だ」
「お前みたいに運動家あがりだとな」
「助けてくれる人がな」
「色々いるからな」
「お前みたいな奴がな」
組合で色々頑張っている侭田の様な者がというのだ。
「いてくれてな」
「そうだよな、じゃあ金はな」
「あるからな」
「それじゃあすぐに菅納に電話し
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