暁 〜小説投稿サイト〜
戦闘携帯のラストリゾート
怪盗乱麻と女城主の対面
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [2]次話
言えた。後は受け取ってくれればミッションは終了だ。
 
「……わかりました。ただ、ただ。一つだけ、約束をしてくださらない?」
「何?」
「本気で盗むのが怪盗としての役割。それは貴女がとても大事にしていることはわかるのだけど……体を壊す、壊されるような危険なことはしないと約束してくれるかしら?」
「当然よ。どんな罠も敵も切り抜けてこそわたしは『怪盗乱麻』なんだから」

 ぱっと答えたわたしを、シャトレーヌは一瞬とても真剣に見つめているような気がした。が、すぐにぱっと明るい表情になって予告状を丁寧に受け取る。

【さて、無事交渉成立したところで帰りましょうか、ラディ?】
「その前に……はい。シャトレーヌさん」

 わたしは右手を差し出す。シャトレーヌはわずかにぽかんとしたが、右手を出してわたしの手を宝石に触るように丁寧に握ってくれた。冷たくて長い、だけど優しい手触りの大人の手だった。
 シャトレーヌは感極まったように潤んだ声で呟く。

「まあ、まあ!なんて冷静で、優しい怪盗さんなのかしら。ありがとう。こんな理不尽なお願いに答えてくれて。貴女が出会えて、本当に嬉しいわ」
「海外にいる人に実力を認めてもらえてたなんて知らなかったから……そのお礼よ」

 十秒くらいの間、ゆっくりと握手をしあう。せっかく実力を認めて呼んでくれたんだし、これくらいの気持ちを示すくらいは怪盗としての在り方に外れるわけじゃない……よね。
 
「それじゃあ今日は帰らせてもらうから。今から犯行への対策を考えておくことね」

 予告状を出し、話をつけた。これで心置きなく怪盗としてこのリゾートに向き合うことが出来る。

「はい、こうして予告状を受け取りましたから……今から城内へ忍び込んだあなたを捕まえても構わないわけよね?」
「えっ……!?」

 そう考えていたわたしにシャトレーヌは待ったをかけた。硬直したわたしに、スズがフォローを入れる。

【まあ理には適っていますが……このムードでシャトレーヌ自らラディをお縄につけると?】
「いえ、いえ。先ほど怪盗さんも話題に出してくれたけど、私には頼れる姉妹たちがいるのだもの。紹介も兼ねて、ついさっきこの部屋に来るよう連絡をしたのよ。せっかくこうして出会えたのですもの!『怪盗乱麻』の実力……私に見せてくださるわよね?」

 扉の外から人の足音が聞こえる。シャトレーヌの部屋は扉が一つあるだけで他に出入り口はない。窓を破って出られないこともないけど、それじゃあつまらないよね。

「……いいわ。なら見せてあげる。わたし達のポケモンバトルを!」
[8]前話 [9] 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ