第二十章
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「後は地獄に堕ちるのみです」
「まだ、まだ私は」
「魂だけこの世に戻ろうとしても無駄です」
速水はここでまたカードを出した、今度のカードは塔だった。
そのカードを自分の顔の前に掲げると神父の全身、首をなくしその場に崩れ落ちていた身体も転がっている首も闇の柱が覆った、そうして。
闇の柱が覆っている場所が崩れ神父の首と身体それに魂がその中に飲み込まれ消えていった。その後には。
何も残っていなかった、神父が放っていた妖気も消え去り聖堂はこれまでの邪な気配が嘘の様になくなりごく普通の廃墟の様になっていた。速水はその廃墟の中で語った。
「塔のカードで貴方の身体も魂も地獄に送りました、後は神の御前で」
「それが塔のカードの力ね」
紗耶香は速水の横から彼に声をかけた。
「相手をどうした状態でも地獄に送るのね」
「そうした使い方も出来ます」
「それは強いわね」
「はい、ああした存在に対しては」
「もう地獄に送って」
「キリスト教の最後の審判を受けてもらいます」
まさにそれをというのだ。
「おそらく今頃は地獄の三人の裁判官達の前にいるでしょう」
「アイアコス、ミーノス、ラダマンティスですね」
司教が三人の神父と聞いてこの名を出した。
「ダンテの神曲にある」
「そうです、そして裁きを受けているでしょう」
「最後の審判とは違いますが」
「ですが」
それでもとだ、速水は司教に話した。
「確かにです」
「彼は地獄に送られましたね」
「そうなりました」
「彼もまたキリスト教の世界にいますから」
例えどれだけ邪なことをしていたとしてもというのだ。
「堕ちる地獄もです」
「キリスト教の地獄ですね」
「間違いなく、これで多くの犠牲を出したあの神父の事件が終わりました」
「そうですね、では」
「ローマに帰りますか」
「そうしましょう」
「私は暫くここに残るわ」
クロアチアにとだ、紗耶香は二人に微笑んで告げた。
「いいお店を幾つか見付けたからね」
「そちらをですか」
「楽しんでくるわ、クロアチアはワインが有名だし」
「美女もですね」
「どちらもいいお店を見付けているから」
「そちらにですね」
「行ってくるわ、依頼主にも全てが終わったことを知らせるし」
このこともあってというのだ。
「クロアチア正教会の方に」
「だからですか」
「ここで一時お別れね」
「次にお会いする時まで」
「そうなるわ」
「その時はすぐですね」
速水は紗耶香の別れという言葉に好意的な笑みで応えた。
「まさに」
「あら、そう言うのね」
「私達は運命で結ばれているので」
「赤い糸でというのね」
「ですから」
「すぐに会えるというのね」
「その時は今以上に親しく」
速水は好意的な笑みの
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