第六章
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多恵はレバーを食べつつ千恵に言った。
「正直ね」
「そのトラウマというか刷り込みとかよね」
知恵はタンを焼きつつ応えた。
「それだとね」
「そうしたことってね」
「中々ね」
「治らないから」
そうしたものだというのだ。
「だからもう」
「報告するにしても」
「解決はね」
「難しいわね」
こう二人で話した、そしてだった。
千恵は自分が焼いたタンを食べてビールを飲んでから多恵に言った。
「それはそうとしてね」
「お仕事の話じゃなくて」
「ええ、このお店のことだけれど」
今度話すのはこちらのことだった。
「お肉いいわね」
「そうね、食べ放題だけれど」
ついでに飲み放題だ、二人はそちらで今食べているのだ。
「これはね」
「いいお肉よね」
「ビールも美味しいし」
多恵もビールを飲んでいる、ジョッキのそれを飲みながらの言葉だ。
「これは幾らでもね」
「食べられるわね」
「焼き肉とビールってね」
「悪魔的な組み合わせよね」
「じゃあ今日はね」
「しこたま飲んで食べて」
そしてというのだ。
「楽しみましょう」
「お仕事も一段落ついたし」
「お祝いも兼ねてね」
二人で話してだった、そしてだった。
双子で焼き肉とビールを楽しんだ次の日に依頼主である八条の弟や妹達にレポートを提出して報告した。
すると彼等はやっぱりとなって話した。
「そんなことだと思ったけれど」
「全く、お兄様は」
「物凄くもててるのに」
「ご自身でそう思われるなんて」
四人共苦い顔で話した。
「これはね」
「難しいかな」
「ひょっとして結婚も遅れるとか」
「そうなるかもな」
こうした危惧も出た、そして実際にだった。
八条義統の結婚は遅れた、晩婚と言っていい年齢であり既にメイドから八条家の別の仕事に移っていた多恵と千恵は彼の結婚の話を聞いて二人で串カツ屋のカウンターで一緒に飲んで食べつつ話をした。二人共既に結婚してそれぞれの子供達も大きくなっている。
「やっとよね」
「晩婚になると思ってたけれど」
「実際にだったわね」
「義統様のご結婚遅かったわね」
「ご多忙だったにしても」
「政治家から八条家の総帥になられて」
その時にやっと、というのだ。
「その時になんて」
「本当に遅かったわね」
「何時になるかってね」
「皆で心配してたけれど」
「ご兄弟でダントツで最後で」
「やっとなんて」
それはと言うのだった。
「本当の子供の時、物心つく前でもね」
「言われたことって残るのね」
「ご本人が気付かなくても」
「そうなるのね」
「そう思うと」
「本当にね」
二人共串カツに焼酎を楽しみつつ話した。
「言葉って強いわね」
「凄い力があるわね」
「そ
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